首相退陣で円安・債券安か 海外勢買いなら日経平均最高値視野https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB071E80X00C25A9000000/
【コメント】
- 昨夕18時、石破首相が記者会見を開き辞意を表明しました。今日、自民党内で総裁選挙の前倒しを議論する予定でしたが、それに先立った首相自らの意思表明でした。
- 混迷の度合いを深める政局で、政治の停滞を回避する英断なのだと思います。一方で、マスコミや識者などからは、「遅すぎた決断」との批判もあるようです。
- 約1年の在任期間でしたが、石破色を自民党の見えざる力で封印された感があり、大変残念でした。石破さんはもっと大胆な政策運営をできたはずですし、現時点で堅持している「物価対策と財政規律」の考え方は正論で、安易な減税を求める新興野党とは一線をかくしています。
- 次の首相は誰になるのかは不明ですが、立憲、国民民主など硬派野党との強い連立が実行できる人物が望まれます。
- 当面の政局の混迷や財政規律の緩みの可能性を踏まえ、今日からの為替、債券、株の相場が注目されます。
- 記事では、円安、債券安(金利上昇)、株高を予想していますが、さてどうなるのでしょうか?
【記事概要】
- 7日に石破茂首相が退陣を表明したことで、週明け8日の外国為替市場では円安・債券安が進みやすいとの見方が多い。政局の流動化を懸念した円売りや財政拡張を見込んだ債券売りが出やすい。日本株には経済対策への期待感から買いが入りそうだ。海外勢が本格的な買いに動くかが、日経平均株価の最高値更新の要件になる。
- 前週末5日の外国為替市場で対ドルの円相場は1ドル=147円台前半で取引を終えた。東京市場の148円台から、米雇用統計の下振れを受けて海外市場で1円ほど円高に振れたが、8日のアジア時間では再び148円を探る展開になるとの見方が多い。「海外投機筋を中心に政局の混迷を嫌った円売りが先行する」(岡三証券の武部力也シニアストラテジスト)とみられるためだ。石破氏が不出馬の意向を示す次期自民党総裁選の動向も警戒される。
- 与党は衆参両院で過半数を確保しておらず、今後は野党の協力を得るためにより財政拡張的な政策を打ち出す可能性が高まると、市場では意識される。財政拡張策は円売りにつながるとの見方が多い。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「米雇用統計でドル安が進む中でも円高進行は限られていたが、円はさらに対ドルで買われにくい通貨になる」と指摘する。
- 国内債券市場では償還までの期間が長い超長期債を中心に利回り上昇(債券価格は下落)が進むとの見方が多い。石破政権の求心力が落ちるなかで超長期債は先行して利回りが上昇し、3日には新発30年物国債利回りは3.285%と過去最高を付けた。財政規律派と評価されている石破氏が退陣すれば、より財政拡張的な政策が実現しやすいとの思惑がある。
- 一方で政局流動化を受けて「日銀は当面利上げに動きにくい」(野村証券の岩下真理エグゼクティブ金利ストラテジスト)との声もある。金融政策の見通しを反映しやすい2年債や5年債など中期債に加え、長期金利の指標となる新発10年物利回りの上昇余地は限られる可能性もある。
- 週明けの日本株には買いが先行しそうだ。前週末の日経平均株価は4万3018円で最高値まであと約700円。経済政策策定への期待のほか、財政拡張を見込んだ海外投資家が買いに動くかも焦点だ。大和アセットマネジメントの建部和礼チーフ・ストラテジストは「海外投資家の間では『自民党総裁選は買い』との見方は多い」と話す。
- 東京証券取引所の統計では海外勢の日本株買いは過去2週間足踏みしており、余力があるとみられる。外資系証券トレーダーは「財政拡張が追い風の輸出関連や防衛、地銀が買われる一方、電力や空運が(買い資金捻出のための)ファンディング売り対象となる」との展開を予想していた。
- 国内政局以外でも、週内には11日に8月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控える。5日発表の8月の米雇用統計を受け市場では9月の米利下げが100%織り込まれた。年内の米利下げ観測の変化により相場が大きく変動する可能性もある。