首相退陣、株価押し上げ 一時最高値 景気対策に期待先行 債券市場、歳出膨張を警戒https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250909&ng=DGKKZO91200060Z00C25A9MM8000
【コメント】
  • 予想通り、昨日は日本株高、債券安が顕在化しました。
  • 日経平均は一時史上最高値を更新、新発30年物国債利回りは一時3.285%に上昇(債券価格は下落)しました。ドル円レートは極端に円安には振れていませんが、147-148円をキープした状況でした。
  • 野党の政策をある程度考慮する必要があるとの見方が有力での結果のようです。
  • ただし、日本株については個別に見ると明らかに割高感があるものも多く、このあたりは注意を要するところかと思います。
  • 新たな自民党総裁が決まるまであと一ヶ月程度かかるようで、その間は政策が停滞し、様々な思惑により投資環境が不安定になると思われます。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
  • 8日の東京株式市場で日経平均株価が一時前週末比800円超上昇し、最高値を上回る場面があった。きっかけは7日の石破茂首相の辞意表明。次期政権が野党の協力を得るため大規模な経済対策(を打ち出すとの観測が強まった。財政拡張的な政策には債券市場などで警戒感も目立つ。
  • 「米国の雇用が弱く景気懸念があるなかで、日本株の上げは大きいなという印象」。この日の急騰は多くの市場関係者の驚きを誘った。
  • 8日の日経平均終値は625円(1%)高の4万3643円となった。取引開始後から上げ幅を拡大し、一時は4万3800円台と8月の最高値(4万3714円)を上回った
  • 投資家の背中を押したのが首相の退陣表明だ。7日に首相官邸で緊急記者会見を開き「自民党総裁を辞する」と明らかにした。「日本株の上値の重さの原因だった政治の不透明感が1つ晴れ、次期政権への期待感から買いが入った」と分析する。
  • 8日午前の円相場で1ドル=148円台半ばと円安が進んだことも株価の支えになった。前週末5日のニューヨーク外国為替市場は147円台前半で取引を終了し、1円程度円安が進んだ格好だ。
  • 「ポスト石破」をめぐる取引も一気に増えた。次期首相候補の一人とされる高市早苗前経済安全保障相は防衛力の強化を訴えており、連想買いが入った。
  • 相場が幅広く上昇する中で主要銀行株はさえなかった。退陣表明を受けて日銀が利上げに踏み切るハードルが高まり、収益改善が遅れるとの見方が広がったためだ。バークレイズ証券の馬場直彦チーフ・エコノミストは8日、日銀の利上げ予想を10月から2026年1月に先送りした。
  • 株式市場は好感する一方、財政拡張への不安感も強まっている。メッツラー銀行のエクイティ・ストラテジスト、ウベ・ホーマン氏は「次期首相は財政政策のためにさらに債務を積み増すという従来型のアプローチを選択する可能性が高い」と指摘する。
  • 8日の国内債券市場で新発30年物国債利回りは一時前週末比0.055%高い3.285%に上昇(債券価格は下落)と、3日につけた最高水準に並んだ。財政リスクの高まりが超長期国債の売りにつながったとみられる。「今後の経済政策などで先行き不透明感が漂うなか、投資家は慎重姿勢にならざるを得ない」とみる。
  • 「国債増発を伴う安易な財政拡張政策は債券市場の崩壊につながりかねない」との声も漏れる。目先は後任候補の政策をにらみながら神経質な展開となりそうだ。