日経平均株価の最高値「バブルとは思わない」 著名個人投資家cis氏 日本株、熱気なき最高値https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0732U0X00C25A9000000/
【コメント】
- 今朝は休刊日ですが、昨日ネット版に掲載された日本株の記事を取り上げます。
- 日本株は高値更新をしていますが、熱気はないと述べています。世界的にインデックス運用が存在感を強めていて、機械的に日本株への資金流入があるため、人為的な投資ではない分、熱狂感がないようです。
- インフレでの株高という要因があり、企業業績が上がり株価上昇や株主還元の増加が期待されています。
- 投資をしている「投資家」には恩恵がありますが、投資をしていない一般的な消費者にはインフレの負担感だけが感じられるのではないかと思われます。
- 日本時間昨夜の米国株は堅調に上がっています。9月は例年日米ともに株価の調整局面がある月です。
- 明日はFRBの利下げが決定されると見込まれています。「噂で買って事実で売る」という株式相場の格言があります。
- 9月後半戦はどんな展開になるのでしょうか?(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 「日本株は(世界から)取り残されていた」。運用資産が300億円を超える著名個人投資家のcis(ハンドルネーム)は9月上旬、日本経済新聞のインタビューに応じ、日経平均株価が最高値を更新した理由をこう語った。
- 専業投資家となって20年あまり。cisは運用資産の大きさと市場のプロも無視できないSNS上での影響力から「日経平均株価を動かす男」の異名も持つ。最高値は日本株の実力が評価されたわけではなく、インフレで世界の株価が上昇したためとみる。X(旧ツイッター)では株価急騰を指してバブルという言葉を使うものの、現在の株高は「いわゆるバブルだとは思っていない」。
- 世界的なカネ余りが株高を増幅しているとも分析する。「僕が株の短期売買を始めたときは1億、2億円の資産で『億り人』と呼ばれて成功の象徴だった。今では50億円でようやく一人前。相当お金が余っているということだと思う」
- 日経平均は8月、約1年ぶりに最高値を更新。今月は石破茂首相の退陣表明を機に急騰し、10〜12日に3日連続で高値記録を塗り替えた。ただバブル経済のピークを34年ぶりに超えた2024年ほどの熱気はない。
- 米銀大手バンク・オブ・アメリカの日本法人、BofA証券で日本株セールス責任者を務める山上晋一郎は「上場投資信託(ETF)を通じて幅広い個別銘柄に資金流入がある」と指摘する。世界の株式指数に連動するインデックス運用は日増しに存在感を高めており、日本株にも機械的なマネー流入がある。熱気なき日本株高の「違和感」の一因だ。
- 海外株からの振り向け先を探す「素人投資家」も目立ち始めた。
- 米系運用会社ティー・ロウ・プライス・ジャパンで日本株運用を担当する取締役の渡辺博史は2月以降、運用先を探す海外年金基金と話をする機会が増えている。「日本株には日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)という2つの指数が存在していて」。初歩の初歩から説明することも珍しくないという。
- 日本株の想定以上の上昇は、運用のプロの誤算にもつながっている。
- 「現金比率を高めて、次の株価急落時に徹底的に買い向かいます」。4月30日付の全国紙に、独立系運用会社さわかみ投信の「宣言」が全面広告として掲載された。運用会社自らこうした広告を出すのは異例だ。
- 社長の沢上龍は18年前、リーマン・ショック前夜の米国を頻繁に訪問していた。相場の強さを説明できないという面で当時と似ており、「現在の株価水準では買いに動けない」。ただその後も株価は上昇し、現在まで買い場は訪れていない。
- 株価は企業活動や経済の「体温計」とされる。最高値なら経済全体に恩恵があるはずだが、多くの人にその実感は乏しい。書店に立ち並ぶある本のヒットがその違和感を如実に映す。
- 株価は高いのに生活が厳しい本当の理由――。第一生命経済研究所主席エコノミストの藤代宏一の著書『株高不況』の表紙にはこうある。藤代は「インフレで企業収益も株価も膨らんでいる一方、株式保有が乏しい日本の家計はインフレに脆弱だ」と分析する。
- 株式投資は多くの人にとって縁遠い分野だった。日経平均の最高値や昨年始まった新しい少額投資非課税制度(NISA)の影響もあり、行動の変化がみられる。
- 埼玉県在住の渡部愛は「給料だけでは足りない」との切迫感から4月に投資を始めた。最高値圏でも個別株を買い、冷静に考えている。「一時的な調整局面は覚悟している。このまま長期で持ち続ける」と話す。
- 過去を振り返ると、大衆の投機熱は常に「バブルの象徴」になってきた。1929年秋から始まる世界大恐慌直前のウォール街、ジョン・F・ケネディ大統領の父である大物相場師のジョセフ・ケネディは靴磨きの少年が自分に株を勧めるのを目の当たりにし、保有株を全て売ったとされる。
- 今の日本株は参加者の総楽観からほど遠い。様々な見方を持つ投資家の厚みがある限り、現在の相場基調は長続きする可能性がある。