高市自民、「党内政権交代」鮮明に 麻生色濃く 新執行部発足
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251008&ng=DGKKZO91807080Y5A001C2MM8000
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【コメント】
- 高市自民党の執行部が昨日公表されました。
- 「麻生派閥執行部」と言わざるを得ない人事です。石破氏時代に冷遇されていた、麻生派、旧茂木派、旧安倍派が見事に復権しました。
- 加えて、政治資金収支報告書に多額の不記載があった一人で、東京地検特捜部が8月に政策秘書を政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で略式起訴したばかりの萩生田光一氏を幹事長代行にあてた人事も驚きです。
- これらを見ると、旧来の自民党に逆戻りした感が否めません。
- これを受け、少数与党がまず解決しなければならない連立の枠組みが混迷の度を増しています。
- 公明党は、高市氏の政治と金の軽視の姿勢に懸念を持ち、連立入りを保留しています。
- また政策が近い国民民主は、支持団体である自動車・電機・流通やサービス業・電力の労組組合が連立入りに反対しています。
- 立憲民主党は高市氏の政策とは合わず、野党連合で首相を選出する動きを強めているようです。もし立民・国民・維新が組めば、野党連合からの首相誕生も可能です。
- 高市さん、というか自民党はなぜ先祖返りするような国民受けしない執行部としたのか?非常に疑問です。
【記事概要】
- 自民党の高市早苗総裁は7日、新しい党執行部を発足させた。総裁選での勝利に貢献した麻生派と旧茂木派を重用し、石破茂前総裁からの「党内政権交代」を印象づけた。党内には不満がくすぶり、公明党にも懸念の声がある。与党内が安定しなければ連立拡大に向けた野党との協議も進みにくい。
- 高市氏は新執行部による最初の役員会で「党内融和に努めてほしい」と鈴木俊一幹事長らに指示した。自民、公明両党は衆参両院で過半数の議席を持たない。政策推進には野党との協力が欠かせず、その前提となるのは党内の安定だ。
- 今回の人事を「結束重視」と受け止める声は党内に少ない。幹事長の鈴木氏のほか副総裁の麻生太郎氏、総務会長の有村治子氏はいずれも麻生派に所属する。党四役に副総裁を加えた党五役のうち麻生派が3つを占めた。
- 自民党の各派閥が解散するなかで、唯一存続する麻生派の影響力が色濃くでた人事は「自民党は変わっていない」と受け止められかねない。SNS上では新執行部を「第2次麻生内閣」とやゆする投稿が広がる。
- 旧茂木派も厚遇された。新執行部に2人が起用されたほか、国会対策委員長に就いた梶山弘志氏は無派閥ながら茂木敏充氏に近い。茂木氏自身は閣僚に就く方向で、官房長官への起用案がある木原稔氏も旧茂木派だ。
- 政調会長に就いた旧二階派の小林鷹之氏を含め、総裁選の決選投票で高市氏に投票したグループへの「論功行賞」が鮮明だ。無派閥だった高市氏は党内基盤が弱いため、麻生派や旧茂木派を中心とする布陣で安定を狙った面もある。
- 総裁選で2位だった小泉進次郎農相と3位の林芳正官房長官の党役員への登用はなかった。高市氏は両氏を閣僚に起用する意向であるものの、少数与党では政府が主導できる政策に限界がある。他党とともに政策をつくり、予算や法律を通す要は幹事長や政調会長、国対委員長になる。
- 幹事長代行に旧安倍派の萩生田光一氏をあてた人事にも批判がある。政治資金収支報告書に多額の不記載があった一人で、東京地検特捜部が8月に政策秘書を政治資金規正法違反(虚偽記入)罪で略式起訴したばかりだ。
- 麻生派と旧茂木派、旧安倍派は石破政権では中枢の役割につかない非主流派だった。3派の議員が中心となって石破首相に退陣を促し、高市体制で復権した。
- 過去には政治的なライバルを政権中枢に据える人事もあった。安倍晋三氏は野党だった2012年の総裁選後、決選投票を戦った石破氏を幹事長に据えた。挙党体制を組んで同年の衆院選で政権交代を実現した。今回は党内の一枚岩には遠い。
- 連立を組む公明党は4日、高市氏に「政治とカネ」の問題などに対する懸念を伝えた。保守色の濃い政策への警戒も強い。7日の両党執行部の会談で連立継続の合意は持ち越しとなった。高市氏が首相指名選挙に臨む臨時国会の召集は当初想定の15日よりも遅れる公算が大きい。