高市首相「黙って投資しろ」の違和感 日本売りは止まるか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01BHI0R01C25A2000000/
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【コメント】
- 高市早苗首相は1日、都内で開いた国際投資会議で「ジャパン・イズ・バック(日本は復活した)、インベスト・イン・ジャパン(日本に投資を)」と訴え、アニメ「進撃の巨人」の主人公のセリフを英語で引用し「いいから黙って、全部オレに投資しろ」と呼びかけたようです。
- このメッセージに反し、昨日株価は冴えない動きをしたようです。発端は日銀植田総裁の12月利上げを示唆したことによります。
- ドル円は円金利上昇懸念により円高に動きましたが、これは輸出企業の株価にネガテイブに働きます。
- 日本は現状では成長産業が限られているため、金利上昇が経済に大きなインパクトを与えると感じます。利上げ観測による株式の大幅下落は昨年も起こった現象ですが、どうなりますか、、、。
- 低金利維持→円安継続→輸出企業業績改善→賃上げと税収増→物価高対策補助金配布 というのが日本経済の維持拡大と国民生活安定を実現する方法なのかもしれませんがどうでしょう?(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 感謝祭明けの1日の米国市場でダウ工業株30種平均は朝方から値を下げ、前週末比で400ドル以上安い水準で取引を終えた。日中にはいくぶん値を戻す場面もあったが、総じて勢いを欠き、テック株を中心に株価が乱高下した11月相場の継続を意識させる展開になった。
- 不安定な相場の起点となったのが、1日の植田和男日銀総裁の12月利上げを強くにじませた発言だ。12月会合で「利上げの是非を適切に判断したい」と踏み込み、日経平均株価が同日、1000円近く下落していた。
- 株価だけではない。長期金利の上昇(債券相場の下落)も、日本から米国、ドイツなどへ伝播した。マニュライフ・ジョン・ハンコック・インベストメンツのマット・ミスキン氏は英紙フィナンシャル・タイムズに対し「日銀のタカ派のシグナルを受けたバタフライ効果」と語った。
- 暗号資産(仮想通貨)市場も揺れた。情報サイトのコインデスクによると、前週末に9万ドルを上回っていたビットコイン価格が1日、一時8万4000ドル前後に急落した。日銀の利上げをきっかけに、低金利通貨で資金を調達してリスクの高い資産に投資する「キャリー取引」の巻き戻しが強まるとの観測が浮上したためだ。
- 一方、外国為替市場では円安・ドル高にひとまず歯止めがかかった。円相場は前週末の1ドル=156円台から一時154円台まで上昇。日銀の利上げと米連邦準備理事会(FRB)の利下げで日米金利差が縮小するとの見通しに、まずは素直に反応した。
- 問題は、日銀が再利上げにかじを切ったことで、円安局面が収束に向かうのかどうか。植田氏は「政策金利を引き上げるといっても緩和的な金融環境の中での調整だ。景気にブレーキをかけるものではない」と語った。利上げのペースが引き続きごく緩やかで、物価上昇を考慮した実質金利のマイナスが今後も続くのであれば、本格的な円安の修正は望みにくい。
- さらに円安の原因が日銀の低金利政策だけでなく、財政悪化への不安に根ざすものだとすれば、なおさら楽観できない。ブルームバーグ通信とロイター通信は11月後半に相次いで「日本売り(Sell Japan)」を見出しにした記事を配信し、日本の財政不安に言及した。
- 日本の政府債務は国内総生産(GDP)比で200%を上回り、主要国で最悪の状況だ。金融資産を差し引いたネットベース(純債務)では大きく下がるが「政府が資産売却の意思を示さない限り、純債務は理論上の変数にすぎず、市場は考慮しない」(米ブルッキングス研究所のロビン・ブルックス氏)との声がある。
- 日本では円安とインフレが問題なのに、高市早苗政権は「積極財政」を掲げ、日銀は低金利政策を維持してきた。そうした政策の当然の帰結ともいえる円安に対し、為替介入をちらつかせるという姿勢が、投資家をこれまで戸惑わせてきた。日銀はようやく再利上げに動き始めたが、政府の積極財政との整合性は見えにくい。
- 日本政府に求められているのは、成長を追求しながらも財政の持続性に配慮していくという姿勢を、海外に向けても丁寧に情報発信していくことだろう。
- 「いいから黙って、全部オレに投資しろ」。高市首相は1日に東京都内で開いた国際投資会議で、アニメ「進撃の巨人」の主人公のセリフを英語で引用した。日本への投資を求めた発言だが、足元の状況では誤って受け取られるリスクもある。
