補正予算18.3兆円成立 歳出膨張、利上げ効果相殺 物価抑制策に逆行 国債発行総額も増https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251217&ng=DGKKZO93264450X11C25A2EA2000
【コメント】
- 昨日、2025年度の補正予算が成立しました。
- 内容は、これまでの報道などで概ね理解しているものです。
- 物価高対応と成長投資への支出が主なもので、国債の追加発行でこの支出を賄うものです。
- 今回の補正予算をマクロ的に見ると、インフレを抑えることではなく、インフレで苦しくなる家計などを政府からの支援で支えるという構図です。一方で、成長投資を行い企業活動の活性化により将来の税収に期待するというものです。またドル円相場(円安)に対し具体的に対応する(円安是正)動きも感じられません。
- 国債発行が更に増加しますが、日本の債務残高GDP比は200%台と米欧より突出して高い傾向を助長する様子です。日銀が近々利上げを決定すると思われますが、国債利払い増加が懸念されます。
- 高市内閣の目算は、成長投資→企業業績改善→賃上げ/法人税収増加+政府物価高支援→インフレ対応/国債発行抑制 なのでしょうか?
【記事概要】
- 総合経済対策を裏づける2025年度の補正予算が16日、成立した。一般会計総額は18兆3034億円とした。コロナ禍後で過去最大となる財政出動は需要を押し上げ、インフレを助長する恐れがある。日銀が18~19日に開く金融政策決定会合で確実視される追加利上げによる物価高の抑制効果を相殺しかねない。
- 政府がまとめた補正予算は24年度は一般会計で13.9兆円の歳出だった。今年度は8.9兆円の物価高対策を含んでおり、おこめ券や電子クーポンの配布などを通じて家計支援に注力した。子ども1人あたり2万円の給付金も盛り込んだ。需要を押し上げる内容が鮮明となった。
- 防衛力強化には1.1兆円を積んだ。当初予算と合わせた25年度の防衛費はおよそ11兆円となる。27年度に国内総生産(GDP)比で2%という目標を2年前倒しで達成する。
- これとは別に、ガソリン税の旧暫定税率の廃止や所得税の「年収の壁」引き上げによる大型減税もある。
- 内閣府の推計では、日本経済の需要と供給の差を表す需給ギャップは直近の7~9月期がマイナス0.0%とほぼ均衡していた。直前の4~6月期までは2四半期連続でプラス圏だった。需要がさらに増えても供給が拡大しなければ物価上昇に拍車がかかりうる。
- 財務省幹部は「いまの政権は対外的に物価高を容認するととられてもおかしくない」と語る。政権が財政指標として重視する政府債務残高の名目GDP比だけでみれば、物価高によって名目GDPが伸びるほど改善することになる。
- 日銀が注視する生鮮食品を除いた「コア」の消費者物価指数(CPI)は43カ月連続で2%を上回り、今年は3%台での推移が目立つ。日銀は円安が輸入物価の押し上げなどを通じて物価高につながりやすくなっているとみる。
- 日銀は政策金利を現在の0.5%から0.75%に引き上げる公算が大きい。1995年以来30年ぶりの金利水準だ。足元の円安・ドル高基調は日米の金利差が依然として大きいことが一因との見方から、利上げは円安に一定の歯止めをかける効果が期待される。
- 金融緩和の正常化と矛盾するようにうつる財政政策に対し、市場の見方は懐疑的だ。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「コロナ禍後にこれほど大規模な補正予算の必要性は疑わしく、財政規律への不安を高めかねない」と指摘する。
- 高市早苗首相は16日の参院予算委員会で一般会計ベースの補正後の国債発行額が前年を下回ったとして「財政の持続可能性にも十分配慮した額になっている」と強調した。
- 政府は2026年度の当初予算案の編成を進めている。一般会計の総額は120兆円超と過去最高だった25年度予算(115兆1978億円)を上回る見通しだ。物価高対応や高校無償化のほか、金利上昇で国債費が膨張する。
- 財務省が12日に開いた国債の主な買い手である証券会社などが参加する国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)会合では、26年度の国債発行計画を巡り、市場参加者から足元で上昇が続く金利や日銀の金融政策の動向を考慮するよう求める声があがった。
- 国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は今回の補正予算で26年度の黒字予想から一転し赤字となる公算が大きい。一般会計以外も含めた国債の追加発行でみると12.7兆円ほどで、補正後の発行総額は189.5兆円と24年度の180.8兆円を上回る。
- 横浜銀行の松本通市場営業部長は「国債の発行量に対して買い手が少なく需給バランスは取れていない」と話す。足元で金利上昇が目立つ20年債や30年債など「超長期ゾーンの金利安定は遠い」と警戒する。
- 国際通貨基金(IMF)の調べによると日本の債務残高GDP比は200%台と米欧より突出して高い。債務残高を圧縮しなければ金利上昇によって利払い費が着実に増え、財政を圧迫する。
