【コメント】
- 円安進行が止まらないことに関する論評です。
- 日本企業の海外投資の増加と海外で生んだ利益の海外での再投資、及び日本人個人のNISAなどの活用による海外投資の増加、この二つが円安を加速させているとのことです。
- 日本の人口減少に歯止めがかからないことや卓越した競争力のある産業が育成されていないことなどにより、主要7カ国(G7)中日本は名目成長率だけでなく実質成長率で見ても最下位とのことです。経済が伸びない国の通貨は買われないということです。
- このままでは、日本人は日本を見捨て海外逃避に歯止めがかからなくなるのではないかという、ホラーストーリーでは片付けられない事態を招く可能性があると感じます(怖)。
【記事概要】
- 日銀が政策金利を0.75%に引き上げたが、円安基調が変わる気配はない。利上げが不十分だからという見方が多いが、それだけではないだろう。
- 円安の根本原因は日本経済の構造的な弱さにある。主要7カ国(G7)の国内総生産(GDP)が過去10年でどれだけ増えたかを比較すると、日本は名目成長率だけでなく実質成長率で見ても最下位だ。経済が伸びない国の通貨は買われない。
- 軽視できないのは海外投資家だけでなく、日本企業や日本人が日本を事実上「見捨てている」ということだ。
- 日本企業は海外への投資を加速させている。海外事業の収益が半分以上という大企業は業種を問わず珍しくない。理想はそこで得た利益を日本に還元させて日本経済に貢献する「投資立国」の姿だが、お金の多くは収益性の高い海外で再投資されているのが現実だ。
- 個人も同様である。「資産運用立国」の掛け声の中で新NISA(少額投資非課税制度)の利用がブームになっているが、若い層の間で最も人気が高い運用先は海外株式ファンドだ。日本人投資家の間ではもはや自国バイアスは消えたように見える。
- 日本企業や個人投資家のこうした行動は合理的である。日本よりも成長可能性が高い海外で事業を行ったり、投資をしたりすればリターンは大きくなるからだ。だが、ある意味では静かなる資産逃避が進んでいるのがいまの日本の姿と見ることもできる。日本の内側から円安圧力が強まっているのである。
- こうした現象は日本のマクロ経済政策運営に重大な示唆を与えている。
- それは円の信認が損なわれるような政策はこれまで以上に危険になりつつあるということだ。インフレの助長につながる拡張的な財政政策を続けたり、日銀が財政への悪影響を懸念して金利を抑え気味にする金融政策を取ったりすれば、円への不安を通じて本格的な資産逃避につながる恐れがある。
- 日本が通貨危機に陥ることがない理由として経常収支黒字や対外資産が大きいことをあげる論者も多い。その前提には、日本企業や日本人が積み上げた資産や収益が「日本防衛」に役立つという思い込みがある。それは幻想といわざるをえない。
