【コメント】

  • 選挙後に思いのほか円高が進んでいます。
  • 自民党が圧倒的多数を占めたことから、高市首相の政策が円滑に遂行されるとの思惑から一時円安に進みましたが、財務省の口先介入により現在は153円台と円高に戻しています。
  • 自然体で考えると、物価影響を考慮した日米の実質金利を勘案すれば円安です。
  • こうなると日本の輸出企業は、他国の取引相手企業が円を嫌っているため円建て取引にはできない状況で、これにより為替影響が残るので業績が不安定になります。
  • 輸入企業も、これ以上の円安は業績に大きな影響を及ぼすため、あらかじめ円を売る為替予約をしがちで、これが円高に振れにくい要因の一つでもあります。
  • 財務省は「投機筋に支配されており、秩序だった円安ではない」と述べていますが、何が「秩序」なのか若干疑問が残ります。
  • お上による為替介入は現状を捻じ曲げる行為と感じます。巨額の国債利払いと日本経済の脆弱性により利上げし辛い日本の円は相対的に弱くなることは当然と思います。
  • 財政規律を厳守し国債残高を低下させ、一方で差別化できる製品やサービスを生み出し輸出できるようにすることが根本的な通貨強化につながることは皆わかってはいるのですが、、、。
  • 現在の日本株高は海外投資家によるものです。日本の一般国民は、能動的に日本に投資せずNISAなどで海外に投資しているのはなぜでしょうか?日本国民が日本を信じられないからなのでしょうか?

【記事概要】

  • 「一切ガードは下げていない」。財務省の財務官である三村淳は12日午前、円安への警戒を継続していると強調した。この日の円相場は1ドル=153円近辺で円高方向に推移していたが、このけん制発言でさらに152円台前半まで上昇した。
  • 三村の警戒感は円相場の乱高下にある。1月23日に159円20銭台を付けたあと、為替介入の前段階とされる米当局のレートチェックを受け152円10銭台まで円高が進んだ。31日に首相の高市早苗が円安容認とも取られる発言をすると、2月5日には157円台まで下落。足元は8日の衆院選での自民党圧勝で円買いが再び優勢だ。
  • 金融市場では「弱い円」を見込む声が目立つ。
  • 「財政・金融政策を踏まえれば、円高に転換する絵は描けない」。1990年代から外国為替市場に携わるふくおかフィナンシャルグループのチーフ・ストラテジスト、佐々木融はこう分析する。「円安は日本の経済力の低下を映している。もはやかつてのような安全通貨ではなくなった」とみる。
  • 高市が自民党総裁選に勝利する直前の2025年9月末の水準は148円。今もなお円安水準にある。企業も円安への警戒感を緩めていない。
  • 「1ドル=160円は異常。この異常さがどこまでになるのかはわからない」。サイゼリヤ社長の松谷秀治は1月14日の記者会見で不安をのぞかせた。低価格戦略の維持が奏功し、25年9~11月期の連結純利益は同期間として過去最高となったものの、円安が費用増に直結した。
  • 東京商工リサーチが25年12月、インターネットで約6100社に円安の影響を調査したところ、1ドル=156円程度の為替水準が「経営にマイナス」とした回答が4割に上った。
  • 作業服大手ワークマンの取締役、飯塚幸孝も「もう円安には振り回されたくない」とこぼす。ここ4年ほどの急激な円安で仕入れコストが跳ね上がったためだ。
  • 事前に決めた予約レートで取引する比率を高めるなどして為替影響を軽減。25年3月期の税引き利益は3期ぶりに増益を達成した。今期は輸入決済に使うドルの9割を事前予約して身構える。
  • 円はドル以外の通貨でも下落が顕著だ。1月23日には対ユーロで1ユーロ=186円台後半と、1999年の単一通貨ユーロの導入以降で最安値をつけた。対スイスフランでも最安値を更新。この数年で「最弱通貨」の地位がすっかり定着した。
  • ビジネス上でも円離れが静かに進行する。
  • 「日本からの輸出に関して言えば、大企業にとって円建て取引はもう現実的ではない」。横浜国立大学教授の佐藤清隆はこう語る。企業はできれば為替リスクが発生しない円建てで輸出したいが、輸出先で厳しい競争にさらされている日本企業は外貨建てを余儀なくされている。「現在でも円建てが多いのは一般機械セクターくらい」という。
  • なぜ円安基調が続いているのか。物価影響を考慮した実質金利で見ると、円売りが続く理由は明確だ。米国の政策金利は3.5~3.75%で、インフレ率を差し引くと1%程度。日本は政策金利が0.75%で、実質金利は1%超のマイナスに沈む。運用に有利な通貨にマネーが集まる金融市場において、円が選ばれないのはむしろ自然だ。
  • 「投機筋に支配されており、秩序だった円安ではない」。財務省の為替市場課長として円売り為替介入を担った経験のある、元財務官の山崎達雄は眉をひそめる。円安が物価高に結びつき、特に中小企業の収益を圧迫している点を憂う。「大企業と中小企業の格差がこのまま広がってしまうのは深刻な問題だ」
  • 円はこの先「最弱通貨」の評価をはね返せるか。カギの一つは追加利上げを探る日銀の動きだ。
  • 日銀は1月の金融政策決定会合で成長率と物価の見通しを上方修正し、連続利上げを主張する審議委員もいた。日銀幹部は「(追加利上げに前向きな)タカ派色をにじませたが、それでも円安圧力は強い」と神経をとがらせる。