原油88ドルに上昇、IEA備蓄放出でも「不十分」 海峡閉鎖分を補えずhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN11CKA0R10C26A3000000/

【コメント】

  • 国際エネルギー機関(IEA)の加盟国は石油備蓄の協調放出で合意しました。放出量は過去最大規模の計4億バレルで、ホルムズ海峡経由の輸出量の20日分にあたるそうです。
  • ただイランは「1バレル200ドルを覚悟しろ」と語り、戦争の長期化を示唆しているようです。
  • この状況を鑑み、原油価格は再度ジリジリと上昇しています。株式市場も再度リスクを織り込みはじめ値下がりを始めています。
  • このまま戦争が長期化していくと、我々の生活に大きな影響が出てきます。
  • イランを怒らせたトランプ大統領の罪は大きいと感じます。

【記事概要】

  • 米原油指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は11日、前日終値比で一時6%高となる1バレル88.99ドルまで上昇した。国際エネルギー機関(IEA)の加盟国が過去最大規模の石油備蓄の協調放出を決めたものの上昇を止められなかった。協調放出では供給量不足を埋められないとの思惑や戦争の長期化懸念が強まっている。
わずか3日で放出に合意も効果実らず
  • IEAの加盟国は11日、過去最高規模の4億バレルの石油備蓄の協調放出で合意した。主要7カ国(G7)が動き始めて合意に至るまで、わずか3日だった。米国とイスラエルのイラン攻撃への批判を棚上げし、原油価格安定のために各国が足並みを揃えた。
  • 4億バレルはロシアによるウクライナ侵略時に放出した1.8億バレルの2倍の水準だ。IEA加盟国が公的な石油備蓄として保有する12億バレル超の4割に相当する規模だという。
  • もっとも、価格安定の効果は限定的だった。WTI価格はIEAの決定を各社が報じた米東部時間の午前9時〜10時台に一旦82ドル台まで下げたものの反発し、午前11時にはIEAの決定前の水準に戻り、その後じりじりと上昇している。
備蓄放出では「日量2000万バレル」をカバーできず
  • 価格を抑制できない背景には、エネルギー輸送の要衝でイランが事実上封鎖しているホルムズ海峡の影響を補えないとの懸念がある。同海峡は世界の原油・石油製品の2割の日量2000万バレルが通る。備蓄放出ではこの日量をカバー仕切れないという。
  • 英キャピタル・エコノミクスのハマド・フセイン氏は「協調放出で1日あたり500万バレル以上を出すのは困難」と指摘する。過去に協調放出された量は最大で日量250万バレルだったという。「戦略備蓄は危機時の完全な代替ではなく、緩衝材として設計されている」(フセイン氏)という。
  • 実際に放出する時にはオークションで値段を決めるといった手続きも必要となる。「今日明日からすぐできるものではない」(コモディティートレーダー)といった声も上がった。「備蓄放出はすでに月曜日の原油価格の下落時に織り込まれていた」(米調査会社のヤルデニ・リサーチを率いるエドワード・ヤルデニ氏)との指摘もあった。
長期化懸念、イラン「200ドル覚悟しろ」
  • イラン情勢の長期化懸念も原油価格を上昇させている。英商品ブローカーマレックスでエネルギーアナリストのサーシャ・フォス氏は協調放出は「数週間の猶予をもたらす」と指摘する。裏返せば長期化すれば、放出の効果はさらに薄らぐ。
  • 米CNNは10日、米国の機密情報に詳しい情報筋の話として、イランが同海峡に機雷を敷設し始めたと報じた。トランプ米大統領は、イランによる敷設の報告は受けていないとしたうえで、敷設された場合に撤去しなければ「イランへの軍事報復は前例のない規模になる」と警告した。
  • イラン側に警告にひるむ気配はない。国営イラン通信では革命防衛隊の報道官が11日に「1バレル200ドルまでの上昇を覚悟しろ」と述べた。11日には貨物船を攻撃することで継戦能力を示している。
  • ヤルデニ・リサーチのヤルデニ氏は「米海軍の護衛があってもイランの自爆ドローンは非常に危険だ。その兵器は大量に残されている」と指摘し、戦争が長期化に向かい始めたとの見解を示した。
  • 株式市場もIEAの備蓄放出の効果を冷ややかに見ている。ダウ工業株30種平均は前日終値比で一時、1%超下げた。原油高の継続で消費者心理が悪化するとして、ダウ平均の構成銘柄では消費財のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)やウォルマート、マクドナルドなどが大きく下落した。S&P500種株価指数の業種別指数でも「エネルギー」以外の業種の大半が下落している。