【コメント】
- イランの停戦は、イスラエルの攻撃が依然として止まず、停戦合意が破棄される可能性もはらんだ不透明な状況が続いています。
- 今週末から米国とイランの対面交渉が始まることになっています。お互いハイボールの要求を投げている状況に加え、イスラエルや他の中東諸国の意向も無視できないため、合意を危ぶむ声があります。
- 取り上げた記事は、日本企業の株高と将来性に関してのコメントです。ここ1−2年、東証のPBRに関する方向付けもあり日本株は上昇を続けています。
- しかしこれは単に日本企業が手元の剰余金や現金を株主還元にまわしている影響が強く、果たしてどれだけ将来への企業価値向上への投資に繋げているのか疑問とのことです。
- このままの傾向が続けば、成長期待が見出せないことを理由に将来どこかで株価が落ちていく可能性を孕んでいるとのことです。
- 価値を産む投資アイデアが潤沢に出てきていないことや、アイデアがあっても規制が多く実現できないといった状況があります。これらが現在の日本の弱みであり、これが円安につながり、日本人を貧困に落とし入れる原因です。
- PBR改革では、日本の現状改革はできません。
【記事概要】
- 東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営」の要請から3月で3年が経過した。この間、東証株価指数(TOPIX)は75%上昇という卓越したパフォーマンスを演じた。これだけを見ると、一連の市場改革は日本株市場の活性化という面で一定の成功を収めたように見えるが、果たしてどうか。
- TOPIXの上昇率をバリューとグロースに分解すると、低PBR(株価純資産倍率)銘柄主体の「TOPIXバリュー指数」が2倍に跳ね上がった一方、成長株主体の「TOPIXグロース指数」は50%と、ちょうど半分の伸びにとどまる。
- さらに新興企業向けの「東証グロース市場指数」に至っては、マイナス5%。主力株が最高値を更新する陰で、新興企業はまったく評価されていない。
- この「グロースなき株高」は、日本株投資の目線が未来への投資による成長期待ではなく、過去の蓄積の分配に注がれていることを物語っている。いや、正確には株主還元を期待した「投資」ですらない。
- 2025年の投資部門別売買動向によれば、最大の買い越し部門は事業法人の10.5兆円弱。2位の海外投資家を大きく上回る規模だ。株価を押し上げたのは投資家ではなく、企業自身の自社株買い、いわば「自作自演」である。
- 自社株買いなどで市場から吸収された金額は25年に約16兆円に達し、市場に流通する株式が減少している。株式という「器」を小さくすれば1株利益は見栄え良く膨らむが、それは企業のパイそのものが大きくなったことを意味しない。成長の種となる資本を市場に突き返し、自らの存在意義を縮小させている姿にほかならない。
- 株式市場は未来を切り開く企業に資本を供給する「成長の装置」であるはずだ。今起きているのはその逆回転だ。
- 「PBR改革」と言えば聞こえは良いが、分配という「バリューの宴」が終わったときに残るものは、PBRは1倍を超えたが成長余力の乏しい縮小均衡の企業ばかりということになりかねない。資本を「返す」ことから未来への成長に「投じる」ことへ舵(かじ)を切らねば、この3年の株高は、日本産業界の「緩やかな解体」を飾る最後の花火として記憶されてしまうだろう。
