ナフサ輸入、米から5倍 今月 中東危機で相場3割高https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260528&ng=DGKKZO96524560X20C26A5QM8000

【コメント】

  • ナフサ不足が懸念されています。生活で必要な様々な製品の多くがナフサを原料としていますが、これは今回のホルムズ海峡封鎖で多くの日本人が実感したのだと思います。
  • ホルムズ海峡封鎖が始まった3月にはナフサ確保が非常に懸念されていました。現在もその状況は続いてはいますが、「量」の確保は徐々に改善されています。米国を始め中東以外からの輸入が4月以降激増していることが理由です。
  • 一方で「価格」は高騰しているようです。中東からのナフサが世界的に手に入らない状況なので致し方ないとは思いますが、3月以前に比べ約30%高い水準だそうです。
  • ナフサ由来の材料は自動車や建設資材、日用品などに幅広く使われており、高値であってもナフサをかき集めることは必須で、最終製品への価格添加は免れません。
  • インフレは今後ますます加速しそうです(泣)。

【記事概要】

  • 中東情勢の悪化をうけ、石油化学製品の原料であるナフサ(粗製ガソリン)の調達先の米国シフトが鮮明だ。米国から日本への輸入量は5倍に増えた。一方、日本を取り巻くナフサ相場は3割上昇し、様々な製品の値上げを通して企業や家計の負担をさらに高めそうだ。
  • 欧州の調査会社ケプラーの船舶追跡情報によると、5月の米国から日本へのナフサ輸入量は27日時点で32万トンに達した。過去12カ月平均の5倍に急増しており、データが遡れる2017年以降で単月の最高を記録した。4月に約28万トンと最高を更新したばかりだが、5月はそれをさらに上回る異例のペースで推移している。
  • プラスチックなどのもとになるナフサについて、日本の国内供給の4割は製油所で原油から精製されるが、6割は海外からの輸入に頼る。国内精製のもとになる原油と輸入ナフサは実質的に8割を中東産が占め、中東の地政学リスクを受けやすい。
  • イランと米国の軍事衝突でホルムズ海峡が事実上封鎖され、3月以降は中東産のナフサの輸入は激減した。アラブ首長国連邦(UAE)からの輸入量が軍事衝突前の2月の半分に減少。カタールとクウェートの輸入は足元で止まっている。
  • 日本全体の5月のナフサ輸入量は27日時点で約89万トン。軍事衝突前は5%前後だった米国が約4割を占めるようになっている。
  • コスト負担は重い。ナフサ相場のアジア指標である東京オープンスペックは3月下旬には1トン1208ドルまで上昇し、衝突前(632ドル前後)の2倍近い水準になる場面があった。足元は830ドル程度と落ち着いてきたが、それでも衝突前に比べ3割高い水準だ。
  • 三菱ケミカルグループの筑本学社長は「ホルムズ海峡を通らない地域からのナフサ調達は、プレミアム(上乗せ金)を払えば確保できる」と説明する。
  • 中東情勢が悪化して以降、アジアのナフサ市場では現物確保に向けたプレミアムの支払いが常態化。3月下旬には一時、1トンあたり200ドルのプレミアムで成約する例もみられた。足元では40ドル前後での成約が目立っている。
  • アジア相場の高騰は日本の国産ナフサ価格も押し上げる。国産ナフサ価格を値決め指標にしている合成樹脂メーカーが3月以降値上げを打ち出し、大口需要家と交渉している。物量確保を最優先する買い手側が値上げ要求を受け入れざるを得ない状況で、川下への転嫁値上げの波によって消費者が手にする最終製品の価格にも反映されそうだ。
  • 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「消費者への値上げの波は夏ごろから加速し、年末にかけて本格的な影響が出てくるだろう」と分析する。
  • ナフサ由来の材料は自動車や建設資材、日用品などに幅広く使われるだけに、高値でナフサをかき集める事態が長くなるほど影響は大きくなる。