日銀総裁「利上げの是非議論」 6月会合へ前向きhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260604&ng=DGKKZO96684880U6A600C2MM8000

【コメント】

  • 昨日、再度日経平均が史上最高値を更新しました。終値は68,000円台で70,000円が射程圏内に入ってきたのかもしれません。
  • 6月12日の米スペースXの上場、6月の日銀の利上げの有無、イラン問題の動向などが、今後の株価を左右するポイントです。(投資は自己精勤で!)
  • その日銀ですが、昨日植田総裁が講演を行いました。6月に利上げがあるかどうかで注目された講演でしたが、利上げに対し積極的と捉えられる内容だと評価されています。
  • ポイントは物価上昇率です。教育無償化のほかガソリン暫定税率廃止や補助、電気・ガス代補助といった「官製値下げ」の効果で表面的に物価上昇率が低めに出ていますが、これらの一時的な要因を除くと2.8%の上昇と日銀は算出しており、これを勘案すると利上げは必須という論調でした。
  • 予想される利上げは0.25%と言われており、これはすでにドル円レートには織り込み済みで為替レートは円高に触れてはおらず、逆に160円台に乗せています。160円台に乗せたことにより、この週末に再度政府日銀の為替介入があるのかどうか注目されるところです。

【記事概要】

  • 日銀の植田和男総裁は3日の講演で、中東情勢が不透明な状況が続いても利上げに踏み切る可能性があると発言した。経済の下振れリスクに比べて、物価の上振れリスクが高いと判断されれば「利上げの是非についてしっかりと議論する必要がある」と述べた。
  • 東京都内で開かれた共同通信きさらぎ会で講演した。15~16日に開く金融政策決定会合を前に利上げに前向きな姿勢を示した。利上げすれば政策金利は1.0%になる。
  • 植田氏は金融政策を巡る「点検ポイント」として2点を挙げた。中東緊迫や原油高で(1)日本経済が大きく悪化しないか(2)物価高が広がり、基調的な物価上昇率を押し上げないか――という点だ。
  • 日本経済は企業が高収益で、中東依存度の高い原材料の代替調達も進んでいると指摘した。高水準の賃上げ継続もあり「先行きの景気下振れリスクを最小限に抑えることができる」と語った。
  • 物価は「原油価格上昇を起点とする価格転嫁のスピードはこれまでよりも速く、かつ幅広い品目の値上げに波及しやすくなっている」と指摘。「物価上昇は一時的なものにとどまらず、基調的な物価上昇率が上振れしていくリスクも意識せざるを得ない」と話した。
  • 「全体として物価上振れリスクの方が大きく、より早く表れてくる可能性が高い」と強調した。
  • 植田和男総裁が3日の講演で利上げを議論すると表明した背景には、物価上昇率の上振れへの懸念がある。政府の減税や補助金といった物価高対策の影響を除いた「日銀版」の消費者物価指数(CPI)は、4月に前年同月比2.8%上昇した。政策が後手に回る懸念が強まっている。(1面参照
  • 植田氏は講演で利上げの是非を「しっかりと」議論すると強調した。日銀は英文の講演録で「thoroughly(徹底的に)」と従来より踏み込んだ単語を使った。
  • 総務省が公表する消費者物価上昇率は生鮮食品を除くベースで4月に1.4%と半年前の3.0%から大きく縮んだ。だが日銀は減速を見せかけだとみている。
  • 教育無償化のほかガソリン暫定税率廃止や補助、電気・ガス代補助といった「官製値下げ」効果を除く日銀独自の試算値は4月に2.8%上昇し、伸びは3月の2.5%からむしろ拡大しているためだ。2025年8月以来の3%台に迫る。
  • 専門家は試算を支持する。伊藤忠総研の武田淳氏は「オーソドックスな手法で恣意性があるとは言えない」と断言する。内閣府幹部も「エネルギーや教育無償化の効果を除けば日銀の試算にほぼ合致する」と話す。
  • 中東情勢の緊迫による原油高で物価には値上がり圧力がかかり、米欧のインフレ率は上昇している。大和証券の南健人氏は「一時的な特殊要因を除いた基調を見るのが重要な局面だ」と説く。
  • 企業間で取引するモノの価格を示す企業物価指数は4月に前年同月比4.9%上昇した。4月の企業向けサービス価格指数も3.0%上昇した。いずれも将来の消費者物価に影響する。日銀幹部は「企業の価格転嫁行動が従来より早まっている可能性がある」とみる。
  • 市場の動きも気がかりだ。植田氏は講演で「物価の上昇に適切な対応が行われない可能性があると市場が認識した場合には、それを反映して長期金利が上振れる可能性がある」と指摘した。
  • 政策対応が遅れた場合、その後により大幅な利上げを迫られるビハインド・ザ・カーブに陥る可能性にも触れ「景気のみならず、金融市場や金融システムに大きな負荷をかけるおそれもある」と訴えた。
  • 円安も輸入物価を通じて物価を押し上げる。財務省幹部は「利上げによる景気腰折れより、利上げしないことへの市場反応の方がリスクは大きくなっている」と話す。