旅行収支の黒字縮小続く、鈍るインバウンド需要https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL07CBXTX00C26A7000000/

【コメント】

  • 中国の日本への渡航自粛政策により、中国人の日本旅行が激減しています。加えて中東情勢の悪化による原油高などのコスト増により中国人以外の外国人の訪日も低調です。
  • これらの訪日旅行者の減少により、旅行収支の受取額(黒字額)は減少が継続しています。
  • 日本はNetflixやGoogleなどへのデジタル関連の支払いが赤字で、昨年まではこの赤字を旅行収支の黒字で相殺していました。
  • しかし現在はサービス収支(旅行収支やデジタル収支 など)全体は赤字になりやすい状況が続いています。これも円下落の一因となっています。

【記事概要】

  • インバウンド(訪日客)需要が鈍っており、日本の旅行収支の黒字縮小が続く。財務省が8日発表した5月の国際収支統計によると、旅行収支の黒字幅は3カ月連続で前年割れとなった。中国からの渡航自粛が響いているところに、中東情勢の悪化による原油高などのコスト増が外国人の訪日を抑える要因になり、旅行収支に影を落としている。
  • 訪日客の消費額である「受取」と、日本からの海外旅行による現地での消費額である「支払」の差し引きが旅行収支で、その黒字額は5月が5278億円だった。前年同月と比べると16.9%減で、3カ月連続のマイナスとなった。
  • 旅行収支のうち受取は7649億円で、前年同月比11.3%減と2カ月連続の前年割れだった。伊藤忠総研の副主任研究員、高野蒼太氏は「百貨店の免税売上高などをみても中国からの渡航自粛が足を引っ張っているのが大きい」としたうえで「中東情勢の悪化に伴うコスト増がマイナスに効いているのも間違いない」と指摘する。
  • 中東情勢の悪化で航空機の燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)は高騰している。一方で、中国からの訪日客は引き続き団体旅行を中心に自粛ムードが広がっている。もっとも、為替の円安はインバウンド需要には追い風となる。伊藤忠総研の高野氏は「中国を除くアジアからの訪日客は好調だが、中国からの減少を補いきれていない」と話す。
  • 旅行収支の受取に比べれば規模が小さいものの、支払は前年同月比4.7%増の2370億円だった。なおプラスを保っているとはいえ前年割れが近づいており、減速感が目立つ。日本からの海外旅行である「アウトバウンド」需要の減速は、中東情勢の悪化が重荷になるうえ、為替の円安がインバウンドと逆にマイナスに響いている。支払も減っていくことになれば差し引きでの黒字を保つことになるが、縮小均衡のリスクは気がかりだ。
  • 旅行収支の黒字はこれまで、デジタル関連サービスの赤字とつり合っている状況で、相殺しあっていた。
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアエコノミスト、戸内修自氏は「中国以外からの訪日客は底堅いものの、昨年後半からの(渡航自粛という)中国の政策要因などによって、旅行収支黒字の前年比の伸びはあと半年程度は高まりにくい」と話す。そのうえで「海外サービスに頼らざるをえないデジタルサービスの赤字が減る要素は見当たらず、サービス収支全体は赤字になりやすい状況が続く」とみる。