アメリカ色濃いW杯閉幕、サッカーを二の次にするな 商業主義・政治介入https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH182Q20Y6A710C2000000/

【コメント】

  • 日本時間昨日早朝、サッカーW杯決勝が行われました。延長の末、1対0でスペインが優勝となりました。決勝にふさわしい白熱した試合でした。終始スペインが優勢でしたが、40歳近いメッシが率いるアルゼンチンはよく戦ったと感じます。両チームに拍手です。
  • 今回のサッカーW杯は、政治経済色が濃いとの評価です。
  • 今大会でのFIFAの収入は過去最大の130億ドル超と見積もられているそうです。前回大会の2倍以上とか。観戦チケットは高額を極め、決勝戦でのグランド近くの席は4,000万円を超え、一般席も100万円以上だったとの報道がありました。また、時間を広げてまで演出てんこ盛りにした決勝のハーフタイムショーやCM広告の頻出は、主役であるはずのサッカーの印象を薄める恐れもあリました。
  • 政治色という意味では、FIFAの競技の公平性を毀損する事態を招きました。トランプ米大統領の見直し要請を受け入れて米国選手の出場停止処分が沙汰やみになったことは大問題です。また、米国と停戦状態だったイランの代表チームが入出国で冷遇されたことはスポーツ精神に反する行為と強く非難されることです。最終日の表彰式では、目立ちたがり屋のトランプ大統領は、しばらく選手達の輪に残り、会場からブーイングを浴びていました。
  • 日本が破れても決勝戦まで見応えのある試合が続いたサッカーW杯でしたが、トランプ大統領が表に出るとカネの匂いを感じますが、、、。

【記事概要】

  • サッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会は19日、スペインの4大会ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。過去最大の収益を国際サッカー連盟(FIFA)にもたらした米国式のビジネスモデルはW杯に何をもたらし、何が失われたのか。
  • 「実利」の果実は甘やかだった。今大会を総決算とする23年〜26年のFIFAの収入は過去最大の130億ドル超と見積もられている。
  • 過去最多の104試合を挙行した今大会は、スポーツ市場において水と油とされてきた「北米」と「サッカー」という2つの極をうまくなじませ、巨大な富を生み出そうとした実験であり、またそれが可能であることの証明であった。
  • 初めてW杯のホスト国になった1994年大会当時の米国は「サッカー不毛の地」とされてきた。いまは違う。96年に発足したメジャーリーグサッカー(MLS)のクラブが各地に根を下ろし、動員力を増したサッカーは北米で4大スポーツに迫る人気球技となっている。巨大な北米市場がこの「人民のスポーツ」を受け入れる下地はすでにできていた。
  • サッカー界にとっても、今大会は米国式のマネタイズを実地で学ぶまたとない機会になった。
  • 例えば、北中米の暑熱から選手を守る対策として採用された前・後半に1度ずつ挟まる3分間の飲水タイム。米国の放映権を買い取ったケーブル局のFOXスポーツはそこに乗じてCMを流し、500億円以上に相当する広告料を稼いだと報じられている。
  • 動画配信業者などの参画も追い風となり、この4年間の放映権ビジネスでFIFAには40億ドル超の実入りがある。北米がこれまで以上にW杯の価値を認めれば、この数字は今後さらに膨らむのかもしれない。
  • 決勝戦後のメダル授与セレモニーに出席したトランプ米大統領㊨とFIFAのインファンティノ会長。米国代表選手の出場停止処分が猶予された一件では競技の公平性が危ぶまれた=AP
  • 一方で、行き過ぎた商業主義への懸念も根強く残る。100万円を超すものもあった高額チケットの流通は、サッカーファンのボリュームゾーンを形成する低所得者層をスタジアムから遠ざけた。有料動画配信への傾斜が深まれば公益性が損なわれ、視聴者数が50億人ともいわれるW杯は「みんなのもの」ではなくなっていく。
  • 財布を握るホスト国に向けられるFIFAの阿諛(あゆ)追従が、競技の公平性を毀損する事態を招きもした。トランプ米大統領の見直し要請を受け入れて米国選手の出場停止処分が沙汰やみになった一件は、自ら定めた法と制度に背くインファンティノ会長の無定見を満天下に知らしめた。
  • 米国もまた「政治的介入」の度が過ぎていた。大会中は米国と停戦状態だったイランの代表チームがこの国で出て行けがしの扱いを受けたことは、2年後のロサンゼルス五輪の運営を危ぶませる。
  • 試合は白熱の内容のものが多かった。米国、カナダ、メキシコの3カ国をまたぐ広域開催は各チームに移動・日程・気候などの条件面で様々な負担を強いる一方で、それぞれのチームがそれぞれの困難を克服していくロードムービー的な魅力を今大会に付与していた。
  • エクスパンションを前提に置いたため「プレーヤーズファースト」の精神が後回しになった気味もある。時間を広げてまで演出てんこ盛りにした決勝のハーフタイムショーやCM広告の頻出は、いちばんの出し物、主役であるはずのサッカーの印象を薄める恐れもあった。
  • それを杞憂(きゆう)に終わらせたのは、熱戦に次ぐ熱戦で主役の座を譲らなかった選手たちの頑張りだ。総じて「濃いめのアメリカン」な大会だったように思う。
  • 試合のチケットは100万円を超えるまで高騰するものも。行き過ぎると、ファンのボリュームゾーンを成す人々をスタジアムから遠ざけることにもなりかねない(決勝を前に盛り上がるアルゼンチンサポーター)=三村幸作撮影
  • 4年後の大会のホストはスペイン、ポルトガル、モロッコの3カ国。ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイでも1試合ずつ開催する「3大陸共催」だ。会長は過去最多の48チームが出場した今大会からさらに規模を拡大し、64チーム出場にする仰天の構想を温める。
  • スポンサー企業の多い中国や、サッカー熱の高いインドネシアなどを出場させて新たな金づるを確保したい思惑も絡んでのこと。エクスパンションが世界規模にまで広がれば競技レベルはおのずと下がり、1次リーグはこれまでの各大陸予選と差異のないものになるだろう。
  • 競技の公平性、組織の自律性、大会の公益性だけでなく、「濃いめ」の試合内容を維持できるのか。商業主義とエクスパンションの成否はそこにかかっている。