国債、相続税軽減案に批判 NISA組み入れ「特別扱い」 富裕層の節税色強くhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260803&ng=DGKKZO97930040S6A800C2NN1000
【コメント】
- 設定金利が上がっていることにより国債の商品性に注目が集まっています。
- 大規模金融緩和が是正され日銀が国債の保有残高を減額していることにより、国債の安定的な新たな買い手を探す必要が出てきています。
- そこで財務省は、国債を相続税から除外するという案を検討しはじめています。これが実現すれば、特に相続税を気にする富裕層の国債購入が活発化すると思われます。ただ、相続税がかかる富裕層への優遇色が強いとの批判があります。
- 一方で、国民民主党は、少額投資非課税制度(NISA)の対象に国債を加え、利子や売却益、相続税を非課税とする法案を参院に提出しています。相続税の部分は財務省の検討と同じでこれはどうかと思いますが、国債をNISAの対象にするという案は公平性という観点で納得できます。
- 国債保有を推奨するならば、一歩進め、思い切って国債利子をNISAに限らず非課税にしてしまうのはどうでしょうか? 税収は減りますが、一方で国債保有は安定するのではないでしょうか。
【記事概要】
- 財務省は2026年中にも個人向け国債の商品性見直しの具体案をまとめる。与野党から相続税を軽減する案が浮上しており、年末の税制改正で論点となる可能性がある。家計の金融資産の底上げにつながるとの期待がある半面、投資対象の偏りや不公平な税優遇を招くなどの批判が生じている。
- 「やっぱりやっていく時じゃないか」。片山さつき財務相は7月14日の記者会見で、個人向け国債の購入促進策を検討する姿勢を示した。年内にも具体策を打ち出す。与野党から個人による保有の拡大策を求める声が高まっていた。
- 国民民主党は7月、少額投資非課税制度(NISA)の対象に国債を加え、利子や売却益、相続税を非課税とする法案を参院に提出した。いまはNISAの対象から外れている。株式や投資信託などリスク資産に偏る対象商品を見直し、預貯金を多く持つ高齢者の投資を促す狙いがある。
- 自民党の中西健治衆院議員も6月18日、党資産運用立国議連の会合で個人向け国債にかかる相続税を減免すべきだと提起した。世代を超えて保有しやすくなり、高齢者層による購入を促進できると説く。
- 与野党が税制優遇を求めるのは国債に家計の資金を取り込む余地が大きいからだ。日銀の資金循環統計によると、家計が持つ国債が発行残高に占める比率は26年3月時点で1.7%にとどまる。
- 日銀の政策金利引き上げを受け、個人向け国債は運用資産としての魅力が増している。日銀は異次元緩和からの脱却に伴い国債の買い入れ額の減額に動いており、新たな受け皿づくりが課題となっている。
- 実現には課題が多い。「貯蓄から投資、企業に成長資金を流すというNISAの趣旨を踏まえ、慎重に考えていただく必要がある」。日本証券業協会の日比野隆司会長は7月29日の記者会見でNISAへの組み入れにクギを刺した。
- いまNISAは株式や投資信託の売却益や配当に関わる所得税や住民税を軽減している。相続税は対象税目に入っていない。国債だけ相続税を軽くすればほかの商品より選ばれやすくなる。証券会社の担当者は「なぜ特別扱いするのか」と話す。
- 公平性の面でも課題がある。例えば配偶者と子ども2人の家庭では相続財産が4800万円を超えると相続税の対象となる。配偶者は相続財産が1億6000万円までか法定相続分に収まれば課税されない。被相続人のうち相続税の課税対象となった人は約1割にとどまる。
- 相続税の軽減が導入されれば恩恵を受けるのは富裕層となる。有利な節税商品として高齢者を中心に「国債を持つインセンティブが相当高まる」(銀行関係者)との見方がある。
- 購入促進策を検討する財務省の幹部も「個人向け国債だけ相続税を優遇する理由が見つからない」と話す。別の幹部は「税収が大幅に減る可能性がある」と懸念する。インフレによる資産価格の上昇で相続税収は25年度に3.8兆円と過去最高を更新した。
- 金融システムへの影響を懸念する見方もある。全国銀行協会の加藤勝彦会長は7月16日の記者会見で「貸し出しの原資となる銀行預金から個人向け国債への資金シフトが過度に進めば、成長資金の供給に影響が出る可能性がある」と指摘した。
- 相続税対策では原則時価で評価される有価証券よりも、実勢価格より低く算定されるケースの多い不動産が有利とされる。大和総研の是枝俊悟主任研究員は「金融資産と不動産の相続税上の扱いの差を是正するのであれば、NISAに入る資産全般への相続税の優遇を検討する余地がある」とみる。
