金利上昇、世界で連鎖  中東情勢や財政が重荷 AI関連の社債増、需給緩むhttps://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260819&ng=DGKKZO98240150Y6A810C2EA1000

【コメント】

  • 改めてですが、金利上昇が加速している感があります。
  • イラン情勢の不透明感による原油価格の再上昇による世界的なインフレ懸念、各国の国債増発による世界的な財政悪化懸念、AI関連への巨額投資を賄う大量の社債発行、これら3要素により世界同時の金利上昇が進んでいます。
  • 米国では10年債利回りが4.7%と25年1月の4.8%に迫り、日本でも新発10年物国債利回りは一時2.945%をつけ、1996年9月以来30年ぶりの高水準となっています。
  • 国債や大企業の社債などの基本的にリスクが低い金融商品が高い利回りを提供すると、リスクのある株式市場には下落圧力がかかります。今後の世界的な株式の動向には注意が必要かもしれません。
  • この動向には個人投資家も敏感になっているようです。
  • 同じく今日の朝刊に、日銀が利上げペースを早めるかもしれないという観測が出ています。来年の夏までに、政策金利を現在の1%から1.75%に引き上げるかもしれないと記載されています。
  • この予想をベースにすると、企業は相対的に低い金利で社債を発行したいと思います。実際証券会社には社債発行を希望する企業の行列ができているようです。一方で投資家は金利上昇の上限を見極めるために、当面債券購入に慎重になります。この需給のせめぎ合いで今後の進発債券の発行条件(期間と金利)が決まっていきます。
  • 実際、朝刊トップにはソフトバンクが1兆円の個人向け社債(7年債で金利は4%台後半との予想)を9月上旬に発行するとあります。資金使途は人工知能(AI)向け投資です。
  • NISAでオルカンなどを長期積立するのと並行して、高金利が得られる手堅い債権を購入するのも今後の有望な投資の選択肢になるのではないかと感じますが、いかがでしょうか?

【記事概要】

  • 世界で金利上昇が連鎖している。中東情勢の不透明感を背景に原油高に伴うインフレ圧力が残る。各国・地域でくすぶる財政懸念に加え、人工知能(AI)企業の巨額社債発行も国債に重荷となっている。
  • 日本の18日の債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは一時2.945%をつけた。前日比では0.025%上昇(債券価格は下落)し、1996年9月以来30年ぶりの高水準を連日刻む。30年債の利回りも0.085%上昇の4.155%と5月につけた最高(4.200%)に迫る。
  • 金利上昇は日銀の金融政策や高市早苗政権の拡張的な財政政策など国内要因に加え、世界的な金利上昇も影響している。
  • 米国では30年債利回りが17日に5.3%に乗せた。2007年以来19年ぶりの高水準だ。10年債利回りも4.7%と25年1月の4.8%に迫る。欧州でもフランスの長期金利が4%台に乗せ17年ぶりの高水準をつけたほか、ドイツも3.2%と15年ぶりの高さにある。
  • 世界的な金利上昇には3つの力が働いている。
  • 1つめは米国とイランの対立だ。戦闘終結に向けた覚書で定めた60日間の交渉期限を巡り、協議が進展せず期限の延長もできなかった。米イランが双方を非難している。
  • 緊張の高まりを受け原油相場は上昇基調が続く。毎年の利払いが固定されている債券は通貨価値が下落するインフレに弱い。原油高に伴う世界的なインフレ圧力が債券売りを促している。
  • 2つめは財政懸念だ。米国の財政はイランの戦費拡大などで悪化が続き、財政赤字は7月までの10カ月で1兆7988億ドル(約290兆円)と前年度(24年10月~25年9月)をすでに上回る。大和証券のチーフマーケットエコノミスト、山本賢治氏は「中間選挙を11月に控え、財政規律を高めるような議論は起きにくい」と指摘する。
  • 27年に大統領選を控えるフランスでも、人気を集める極右野党・国民連合(RN)のルペン前党首が積極財政策を掲げる。25年に首相が組閣からわずか半日で辞表を出すなど政治の混乱が目立ち「政府が赤字を抑制するだけの能力を持たない」(欧州の運用会社幹部)との評価がつきまとう。
  • 3つめは米国を中心とするAI関連の巨額投資だ。ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)はデータセンターへの投資資金を巨額の社債発行で調達している。米グーグル親会社のアルファベットは今月、250億ドルのドル建て社債の発行を決めた。
  • テック企業の格付けは政府に引けを取らない。そうした企業が新規で巨額かつ高利回りの社債を発行することで、国債から社債へと行き先を変える投資マネーが登場。国債の需給がゆるむリスクが意識され始めた。
  • 米運用会社コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのポートフォリオ・マネジャー、エド・アル・フサイニー氏は「米国債とテック企業の社債との競争は特に残存期間が30年以上の年限で激しくなっている」と話す。
  • AIはインフレを加速させる要因との見方も浸透してきた。日銀が10日に公表した7月の金融政策決定会合の「主な意見」では「グローバルなAI関連需要や各国の拡張的な財政政策が、更に需要を増やし、一段と物価を押し上げ得る」など、物価上振れ要因とする記述が目立った。
  • 金利水準だけを見れば投資妙味があるように映る。だが複合的な要因でじりじりと上昇が続き、「金利低下のきっかけがつかみづらく、いま買いを急ぐ必要はない」(富国生命保険の大泉洋栄有価証券部部長)との雰囲気が市場を覆っている。