「歴史的円安の構図」再び 実需の円売り、22年秋ほうふつ 市場、輸入インフレを意識https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260826&ng=DGKKZO98378400V20C26A8DTC000
【コメント】
- やはり円安継続なのでしょうか?
- ヘッジファンドなどの投機的な円売りが、先の日米協調介入で下火になった中で、再度ドル円は160円目前に迫っています。
- 理由は実需で、やはり特に昨日記載したイラン問題の混迷による原油価格の高騰が影響しているようです。
- この記事では輸入物価が輸出物価を大きく上まわりはじめていると記載されていますが、要は継続的な貿易赤字です。ここ3ヶ月連続で貿易収支は赤字で、今後ホルムズ海峡が解放されず原油が入ってこない状況が続き価格が高止まりすれば、さらなる貿易赤字は避けられず、円の支払いが受け取りを上回り続け、円安が実需要因で再燃します(すでにしています)。
- 今日の別記事でもありますが、円安を食い止めるためには、やはり日銀による利上げと緊縮的な財政運営による円の信任を高めることが必須です。しかし、この二つの施策を推し進めていくと、日本経済は停滞傾向になる可能性があります。これでは負の連鎖になっていきます。
- 結局、正の循環に戻していくためには、高市首相が目指している、低金利下での企業の投資促進による産業再興策を推し進めていくしかないのかなという気もします。そうなると国民は今後継続的な円安インフレに耐えていかなければならなくなります。唯一国民の痛みを和らげることができるのは、インフレに準じた賃上げを企業が「継続的に」実施していくことですが、投資家の理解をどこまで得られるかは不透明です。
【記事概要】
- 再び1ドル=160円の節目が迫る。日米円買い協調介入は市場を驚かせたが、政府の思惑通りに円高は進まなかった。逆に、日本の需給環境の変化を背景に実需の円売りがじわり強まっている。市場では実需マネー主導で歴史的な円安が進んだ2022年秋の記憶がちらつき始めた。
- 次の注目点は日銀の金融政策決定会合だが、市場はすでに秋の利上げを織り込み済みだ。よほどの演出を講じない限り、市場への反応は限定的となりそうだ。
- 気になるのは、イラン情勢を巡る動乱が続くなかで生じている日本の需給環境の大きな変化だ。日銀が毎月発表する企業物価指数をみると、輸出入物価の伸び率に逆転現象が起きている。
- 加工貿易が経済の根幹である日本の場合、通常は原材料や部材の輸入価格よりも製品の輸出価格の方が高くなりやすい。ところが、イラン情勢が緊迫した4月以降、輸入物価の伸びが輸出物価の伸びを上回った。直近の輸入物価は前年比30%前後の高騰が続く。
- 実は、輸出入物価の伸び率の逆転は過去にも起きている。新型コロナウイルスショック後の世界的なインフレで21年から輸入物価が上昇。ロシアによるウクライナ侵略で国際資源価格が高騰し、22年には、伸び率が前年比50%近くに達した。
- 輸入物価の高騰に伴い、実需主導の円売りが一気に強まった。22年8月に130円台で推移していた対ドルの円相場は22年10月下旬には150円の節目を突き抜けた。
- いまのところ、輸入物価の伸び率は前年比30%前後で、4年前ほどの激しい輸入インフレには至っていない。
- それでも市場が実需の円売りを執拗に意識するのは「イラン情勢から生じる輸入物価の高騰はまだ始まったばかり」(ふくおかフィナンシャルグループの佐々木融氏)との認識が広がっているからだ。
- その兆候は、総務省が21日発表した7月の消費者物価に出始めている。原油やナフサの価格上昇に伴う食料品や耐久消費財などへの価格転嫁が始まっている可能性を示唆する内容で、市場では輸入物価上昇による円安再燃の思惑がじわり強まった。
- 裏付けるかのように財務省が20日発表した7月の貿易統計でも、原油調達コストの拡大などで輸入額が2カ月連続で過去最大を更新。3カ月連続で貿易赤字を記録した。イラン情勢が混迷した当初は備蓄原油の放出や製品在庫の利用で抑えられていた原油や関連製品の価格が、本格的に上昇し始めている。
- 政府の円買い介入の矛先は、ヘッジファンドなどの投機マネーだった。
- だが、みずほ銀行が米商品先物取引委員会(CFTC)のデータから算出したヘッジファンドなどの投機筋による対ドルでの円の売買動向をみると、必ずしも投機マネー主導の円売りにはなっていない。
- 直近18日時点で円の売り持ち高は40億ドル(約6400億円)ほどで、120億ドルを超えていた円買い協調介入前の3分の1ほどに減ったままだった。再び160円の節目に迫る現在の円安局面の主役は実需マネーといえる。
- 4年前と同様の実需主導の円安の場合、政府の円買い介入では対処が難しい。企業の貿易に伴う円売りは眼前の相場水準に縛られることなく、淡々と取引されるケースも多いからだ。
- 輸入インフレを通じて国内経済を不安定化させている円安の再燃をどう食い止めるのか。経済構造の改革はすぐに進められるものではない。政府は難しい課題を突きつけられたままだ。
