〈もがくGPIF〉(下)振るわぬ運用「3勝7敗」 10年成績、遠い市場平均 アクティブ運用が裏目https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260828&ng=DGKKZO98430160X20C26A8ENG000

【コメント】

  • GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は日本の年金資産を運用し、好成績を上げていると思っていましたが欠点があるようです。
  • 国内海外の株式と債券に各25%を投資をしていることで賢い運用をしていることで有名ですが、記事によると、25年度までの10年の運用成績では、東証株価指数(TOPIX)や世界株はMSCI ACWIといった単純なインデックス投資に対し勝ったのは3年間だけだそうです。
  • どうもGPIFは株式運用の一部をアクテイブ投資(運用担当者の目利きで行う投資)で行っているようで、この成績がインデックスに負けているようです。
  • アクティブ投資を国内外の専門運用会社に委託しているようですが、人件費やデータ収集などのコストがかかっています。
  • コストをかけて成績が負けるならば、全ての株式運用資金を単純にインデックス投資にすれば良いと思いますが、、、。
  • この例を見ても、個人の株式運用は欲を出さずに、じっくりとオルカンなどのインデックス投信にすべきですね。ただ、暴落時のクッションとして国内外の債券を組み入れることも考えた方が良いかもしれません。(投資は自己責任で!)

【記事概要】

  • 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は年金資産の効率的な運用が大きな命題だ。過去10年の成績を市場平均リターンと比較すると「3勝7敗」と振るわない。超過収益を狙う「アクティブ運用」が今のところ裏目に出ている。
  • 「ここまでやって指数に勝てないなら仕方ない。そういうところまで手を尽くしたつもりだ」。かつてGPIFで運用を統括した元幹部はこう振り返る。実は運用資産300兆円の「クジラ」にとって市場平均リターンの達成は容易ではない。
  • GPIFは国内外の株式と債券に25%ずつ投資している。国内株は東証株価指数(TOPIX)、世界株はMSCI ACWIといった具合に市場平均を反映するベンチマーク(指数)があり、それらを25%ずつの割合で合成した「複合ベンチマーク」に負けない収益率を目指している。
  • ところが、25年度までの10年の成績をみると、複合ベンチマークを上回ったのは3回しかない。直近の25年度の運用収益率は16.47%と複合ベンチマークよりも0.18ポイント低かった。単純計算で5000億円も取りはぐれたことになる。
  • 厚生労働相がGPIFに課す25~29年度の中期目標では、5年間で複合ベンチマークのリターンを確保することを必達目標として求める。これまでの「3勝7敗」の延長線上の運用スタイルでは達成が危ぶまれる。
  • そこでGPIFはアクティブ運用の強化に本腰を入れる。市場平均に機械的に追随するのではなく、運用者の判断で有望銘柄をえりすぐる。あえてリスクをとってベンチマークを上回る超過収益を狙う運用だ。
  • GPIFの運用委託先のうち、外国株のアクティブ運用は25年度末に75ファンドだった。5年前の10倍だ。国内株アクティブも27ファンドと1.6倍になっている。過去に取引のなかった腕利きの運用会社を国外からも探し、GPIFとの取引に応募するよう働きかけてきた。
  • こうした経緯を知る前出の元幹部によると、GPIFは「世界最大級のヘッジファンド、米ミレニアム・マネジメントの手法を目指した」という。
  • ミレニアムは近年安定した高い収益率を上げていることで知られる投資会社だ。「ポッド」と呼ばれる小さな運用チームを無数に集め、それらへの資金配分をトップダウンで調整して安定収益を目指す運用スタイルに特徴がある。
  • 300兆円の巨体のクジラゆえに運用に制約が多いGPIFを、小魚の群れに見立ててコントロールするイメージだ。アクティブ運用の採用数を増やして分散を効かせ、得意分野を加味して組み合わせも工夫する。
  • しかし、アクティブ運用の成果が数字となって見えない中で、足元では積極運用をめぐり、ある助言会社への巨額報酬を疑問視する声も出ている。
  • 「報酬が高すぎる。もう少しなんとかならないか」。GPIFの業務執行を監視する経営委員会で24年12月、米コンサルティング会社アプライド・アカデミクスに支払う報酬をめぐり議論が紛糾した。経営委は5年ごとに基本ポートフォリオも策定する最高意思決定機関だ。
  • 執行部は今後内製化などによって報酬を減らす努力をすると説明し契約は承認されたが、アプライドとの取引金額は運用会社と比較すると突出して大きい。
  • アプライドはGPIFが運用改革で頼るコンサル会社だ。定量分析に強みがあり、運用会社の選定やポートフォリオ構築を支援する。複数年で46億円の固定報酬に加え、成果に応じた実績連動報酬次第では最大278億円を支払う契約になっている。
  • GPIF資金の運用を受託する運用会社の報酬はどうか。23~25年度の3年間で首位だったニッセイアセットマネジメントは108億円、ブラックロックが83億円で続く。アプライドは条件や契約内容が異なるため単純比較できないが、「異例の規模」との声が少なくない。
  • 今のところコンサル採用による顕著な成果が出ているとはいえない。25年度の運用成績は複合ベンチマークを0.18ポイント下回った。このうち0.15ポイント分は非上場株などのオルタナティブ(代替)投資が上場株の上昇に及ばなかったためだが、アクティブ運用も収益に貢献できなかった。
  • 資産規模が大きくなるほど、費用がかさむアクティブ運用が低コストの指数連動運用に勝ち続けるのは困難というのが通説だ。高額報酬に見合う高収益が得られれば全体として的確な判断といえる。しかし、多額の費用を投じた改革が実を結ばなければ説明責任を問われ、政治的な風当たりが強まる可能性がある。