世界の超長期国債金利、22年ぶり高さ GDP並み巨額債務に市場の警鐘https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01C4B0R00C26A9000000/

【コメント】

  • 昨日、日本で長期金利の指標となる10年国債利回りが3%を突破し、1996年以来の高水準となりましたが、長期国債を世界レベルで見ても高い水準にあります。
  • 世界全体の10年超の国債利回りは、コロナ危機直後では1%弱でしたが、足元では4.5%まで上昇しています。
  • 米国では9月1日の米債券市場では10年債利回りが一時4.8%ちょうどにまで上昇、また日本も昨日は3%を突破しました。
  • 日米の財政赤字レベルを比較すると、単年度でのGDP比は日本が4.6%程度ですが、米国は6% 程度です。これはトランプ大統領の財政拡張政策に起因すると思われます。
  • 一方でGDP比の政府債務残高を比較すると、米国は約120%程度ですが、日本は200%を超えています。
  • つまり、直近では日本は米国よりも(相対的に)健全でしたが、日本の過去からの債務の積み上がりはとても多額だったということです。
  • 金利は、各国のリスクプレミアムにより決定されますが、2027年度の日本の予算が拡張的になれば、リスクプレミアムは拡大し、更に金利が上昇する可能性があります。
  • 単年度の世界全体の財政赤字は2025年にGDP比で5%でしたが、リーマン危機前の07年は0%台にとどまり、ほぼ収支が均衡していました。もし今、何らかの経済ショックが起きれば、そのショックに対応する財政拡大余力はリーマン危機のころより格段に乏しい状況です。
  • 2020年のコロナショックから約6年経過し、日本を含め世界の株価は歴史的な高水準にあります。また各国の国債発行増加やAI企業の投資用の巨額社債の発行による「資金の奪い合い」になっていけば金利が上昇していきます。これを受け、株式市場から債券市場へ一気に投資資金が流れれば、株価の暴落も予想されます。最近は円建て高金利の社債が頻繁に発行されています。マイルドな株式投資よりも円建て社債は安全確実かもしれません。(投資は自己責任で!)

【記事概要】

  • 世界の国債利回りに上昇圧力(価格は下落)がかかっている。償還まで10年以上の超長期債の上昇が目立ち、2004年以来の高水準で推移する。主要国で政府債務が膨張するなか、投資家が長期にわたって国債を持つリスクへの警戒を強める。
世界の政府債務比率、29年に世界大戦直後並みに
  • 代表的な国債運用指標であるFTSE世界国債インデックス(WGBI)は、主要国の国債を時価総額に応じて組み入れる。構成比率は米国が4割程度、欧州連合(EU)の主要国が3割弱、中国が1割強、日本が1割弱を占めている。
  • ファクトセットによると、残存期間が10年以上の国債を束ねた同指数の最終利回りは、25年末の4%付近から足元で4.5%まで上昇した。リーマン・ショック前の2007年を上回り、04年以来22年ぶりの高水準となった。金融危機後の低金利環境が本格的に終わったことを示す。
  • 残存期間が1年以上10年未満の指数の利回りは3.5%にとどまる。今年に入り上昇基調にあるものの、4%弱だった23年10月の直近ピークを下回る。当時は世界の中央銀行がインフレ抑圧のために急ピッチな利上げを進めた直後だった。
  • 1日の米債券市場では10年債利回りが一時4.8%ちょうどにまで上昇した。
  • 長期の国債利回りはおおまかに将来の政策金利の予想と、それ以外の上乗せ金利に分けられる。後者が「タームプレミアム」だ。投資資金が返ってくるまでの期間が長いほど不確実性が高まるため、投資家はリスクに見合った高い利回りを求める。
  • 各国中銀がインフレ警戒を強め、利上げ姿勢に傾くことが金利上昇の一因だ。だが長期の金利ほど上昇が目立つ現状は財政や国債需給への懸念が強いことを映し出す。
  • 政府の借金は膨張している。国際通貨基金(IMF)によると、世界の政府債務は25年に国内総生産(GDP)対比で94%に拡大した。この状況が続くと29年には、第2次世界大戦直後以来となる100%に達するという。
「ショック時の財政余力が乏しい」
  • 債務残高という「ストック」だけでなく、毎年どれだけ借金を積み増しているかという「フロー」にも不安がある。IMFによると世界全体の財政赤字は2025年にGDP比で5%だった。
  • リーマン危機前の07年は0%台にとどまり、ほぼ収支が均衡していた。ハーバード大学教授で元IMFチーフエコノミストのケネス・ロゴフ氏は「ショックが起きたときの財政拡大余力はリーマン危機のころより乏しく、状況は悪い」と指摘する。
  • こうした懸念は、米ノースカロライナ州アッシュビルで開かれている20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にも影を落とす。公式議題には低所得国や新興国の債務問題が並ぶが、開催国の米国自身が巨額の財政赤字を抱える。
ベッセント氏「経済成長で債務比率を縮小」
  • ベッセント米財務長官は「世界は債務であふれ、抜け出す唯一の方法は成長することだ」と話した。人工知能(AI)による生産性向上を一例に、経済を拡大させてGDPに対する債務比率を引き下げる考えを強調した。
  • 日本でも長期金利の指標となる10年国債利回りが3%を突破し、1996年以来の高水準となった。片山さつき財務相は「力強い成長と財政の持続可能性を同時に実現する」と述べた。
  • ロゴフ教授は成長が米国の債務問題を解決するとの見方に否定的だ。「成長が速まれば税収は増えるが同時に歳出需要も増え、金利も上昇する可能性が高い」。政治家は「(金融危機以降の)金利は下がっていくというほとんど宗教的な確信から抜けられていない」という。
  • EUのドムブロフスキス欧州委員(経済担当)は世界経済の不均衡を巡り、「中国はもっと支出し、米国は支出を減らし、EUはもっと投資する必要がある」と指摘した。