美容手当に年20万円・社食3食無料 福利厚生、インフレが変えるhttps://www.nikkei.com/paper/20261020M101/EP00000/article/DGXZQOUA054S20V00C26A8000000
【コメント】
- 興味深い記事です。
- 企業の法定外福利厚生費が増加しているとのことです。
- 社員食堂を3食無料にする、年20万円を上限に美容手当を支給するなどが話題に登っているようです。
- 47.6%の企業が福利厚生を充実するとしており、業種別には建設、運輸・倉庫、農林水産などで、いずれも人手不足に悩む業種のようです。
- 昭和の時代には、企業が保養所を所有し従業員に解放したり、配偶者手当を設けたりしていましたが、最近の法定外の福利厚生の内容の傾向はそれとは異なるもののようです。
- 食事で出社を促進し社員のコミュニケーションの活性化をはかる、あるいは美容手当などで仕事に対するモチベーションを高めるなど、働く個人に焦点を当てた制度改革が多いようです。
- 別の記事でも、家賃高騰に対応しこれまで廃止してきていた社宅を復活する企業も増加しているとのことです。
- 人財獲得競争を法定外福利厚生の魅力で勝ち抜こうとしている企業努力がみえます。
【記事概要】
- 「LINEマンガ」を運営するLINE Digital Frontier(ライン・デジタル・フロンティア、東京・港)は8月から社員食堂を無料にした。従来も早朝やランチに無料や格安での提供をしていたが、いまは朝昼夜の食事を会社が全額まかなう。
- 阿部逸人最高財務責任者(CFO)は「オフィスに来れば3食が無料となり、大きなメリットだ」と説く。社員のコミュニケーション促進と満足度向上を狙う。スケールメリットが効く食堂は賃上げよりコストが抑えやすい利点もある。
- 福利厚生の拡充に動く企業は増えている。厚生労働省が帝国データバンクに委託した調査によると、企業が独自に提供するメニューを指す法定外福利費は2025年に1社あたり平均1741万9000円と前年から4.8%増えた。
- 社会保険料の企業負担分といった法定福利費の5.2%増より伸びは小さいものの、直近3年は4%超の伸びが続く。賃上げに連動する社会保険料と異なり、企業の戦略的な拡充を映す。
- インフレと人手不足が背景にある。生鮮食品を除く消費者物価指数は25年まで4年連続で前年比2%以上のプラスが続く。賃金の伸びが物価の伸びに届かず、実質賃金は4年連続の前年割れだ。足元はプラス圏にあるものの持続は見通せない。
- 帝国データバンクが25年に実施した調査によると「福利厚生を充実する予定」と答えた企業は47.6%に上る。業種別では建設が58.7%でトップで、運輸・倉庫の55.1%、農林水産の52.7%が続く。高齢化や残業規制の強化で人手不足に悩む業種が目立つ。
- 企業は昭和の高度成長期に保養所や退職金の充実に動き、バブル経済崩壊とともに縮小した経緯がある。配偶者手当のように終身雇用を前提に家族を養う層を想定した従来型と異なり、いまの福利厚生は若手を含む社員全体がターゲットだ。
- 会社の理念を示す手段にもなる。SNS運用代行のリソースクリエイション(東京・港)は24年7月、役職や勤続年数に応じて最大で年20万円を支給する美容手当を始めた。美容が目的なら使い道は問わない。
- 「会社の手当で普段できない美容ができ、仕事のモチベーションにつながる」。営業担当、徳田萌乃さん(28)は話す。
- 入社4年目の25年、手当15万円を使い肌のたるみを改善する糸リフトやシワ取りのボトックス注射を受けた。自社のSNSに出演し知名度を上げる役割も担う。手当導入前は自費で月数万円を支出していた。
- 高田桂太郎社長は「若い世代は『誰と働くか』を重視するからこそ、社員には身なりに気を遣ってほしい」と狙いを語る。新卒採用に応募する学生が社風を理解し、憧れを持って入社してもらうことで離職率の低下にもつながると強調する。
- 山梨大学の西久保浩二名誉教授は「経営リスクの高い賃上げに比べて柔軟に運用できる」と指摘する。住宅補助などは賃上げより恩恵を実感しやすい。企業独自のメニューは「経営者の思いが伝わり、採用活動にも活用しやすい」と説く。
- インフレが日本企業の福利厚生を変えつつある。人口減や転職が当たり前となった時代の労働力確保策を探る。
