法人設立後(創業後)初めに行う手続きが法人口座の開設です。
断られない銀行口座の開設方法」を以前記載しましたが、
関連して抑えておきたいのが、
「銀行口座はいくつ作るべきか。」「どこの銀行で開設すべきか。」です。
そこで今回は「設立創業時に開設しておくべき銀行口座について」解説します。

 

銀行口座はいくつ作るべきか。

結論:入金用、出金用、納税貯蓄用、の最低3つを開設!

「銀行口座は1つあれば十分」と考えている経営者の方も多いのですが、
1つの口座で、
入金(売上)、出金(経費)、利益管理(納税と貯蓄)を行うことは、
非常に危険です。

なぜなら、
会社の利益とお金の流れ(難しい言葉でいうと「資金収支」)は全く別物で、
同一口座で全てを管理すると両者を混同、
一時的にある口座残高をみて、会社にお金があると勘違いしてしまうからです。
次に具体的な口座の利用方法をみていきましょう。

 

入金用口座:
売上入金専用の口座です。
預金通帳を見ると、
毎月の売上入金と出金用口座、納税貯蓄用口座への資金移動のみが、
羅列される形となります。

出金用口座:
経費支払専用の口座です。
預金通帳を見ると、
毎月の経費と売上口座からの資金移動のみが、
羅列される形となります。

納税貯蓄用口座:
納税貯蓄用の口座です。
預金通帳を見ると、
税金の支払いと売上口座からの資金移動のみが、
羅列される形となります。

どこの銀行で開設すべきか。

結論:メガバンク、ネットバンク、地銀信金、の3つを開設!

銀行口座の開設手続きは面倒であるため、
出来れば一度で終わらせてしまいたいところです。
それでは、
上記の3つの利用口座(入金用、出金用、納税貯蓄用)は、
具体的にどこの銀行で開設すべきでしょうか。
それぞれ銀行の特色を加味して開設すべき銀行口座を見てみましょう。

入金用口座:メガバンク(都市銀行)で開設!

会社が発行する請求書に記載された入金口座がメガバンクであると会社の信頼性が増します。
また、
主要取引銀行をを明示する場合もあり、
法人口座開設時に必ず1つは持っておくべき銀行口座です。
入金用口座は本店近くにある銀行口座へ開設依頼を行いましょう。

【 対象銀行:みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、など 】

 

出金用口座:ネットバンクで開設!

何といっても「支払手数料が安い」、「WEB環境があればどこでも支払いが出来る」ため、
使い勝手が良いのが特徴です。
経費支払いを行う口座であるため手数料の安さと利便性を重視します。
様々な銀行でIB(インターネットバンキング)を設けていますが、
ユーザーとしての使い易さは専業のネットバンクには劣ります。
そのため、
出金用口座はネットバンクへ開設依頼を行いましょう。

【 対象銀行:楽天銀行、ジャパンネット銀行、SBI銀行、など 】

 

納税貯蓄用口座:地銀、信金で開設!

法人税、消費税、源泉税、といった会社に関わる税金は、
いずれも後から請求がくるため、
「支払い時に納税資金がない」なんてケースはよくあります。
そのため、
定期的に納税資金を移動し余剰資金を貯蓄しておくための口座が必要です。
メガバンク(都市銀行)は、
中小企業(ベンチャー企業)への関心が薄いケースが多い中、
信用金庫や地方銀行は、
中小企業に優しく、融資や補助金の相談などへも親身に対応してくれるため、
法人口座として一つ開設しておくことで、その後の事業経営の利便性は高まります。
納税貯蓄用口座は、
信用金庫や地方銀行へ開設依頼を行いましょう。

【 対象銀行:横浜銀行、東京都民銀行、城南信用金庫、川崎信用金庫、など 】

まとめ

用途毎に口座を別けて管理する副次的な効果として、
経営者自身が会社のお金の流れを理解することが出来、
資金収支の感覚を自然と意識する様になることが挙げられます。

これは事業経営を行う上で、
経営者が身に付けるべきとても重要な感覚です。
財務諸表や簿記の勉強を始める前に、
まずは自社の入出金をしっかり把握する様にしてみて下さい。

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