• 現在の日本を取り巻く経済環境を平易に解説した記事。
  • 90年代以降これまで、日本はデフレと円高、賃金やGDPの伸び悩みに苦戦し、オセロで言うと「黒」だった。
  • 一方中国は、低賃金を背景とした「世界の工場」で既存技術のノウハウを蓄積し、教育制度の充実により先端技術をも生み出せる力をつけ、一帯一路などにより東南アジアや中央アジア、アフリカに経済圏を拡大してきた。また比較的落ち着いた政治環境を背景に米国への輸出も増加させてきた。急速に「白」を増加させてきた。

 

  • ところが、17年に登場した米国のトランプ政権が中国のグローバル化の土台を揺るがした。また、それ以上にコロナが招いた修復不能な米中の溝がある。20年に中国で流行が広がり瞬く間に広がったが、発生源をめぐる情報秘匿などで米国側の中国不信は決定的となった。米国は110万人を超える最大のコロナ死をだしているからだ。習近平(シー・ジンピン)政権が採用したゼロコロナ政策は、副作用として中国経済に急ブレーキをかけた。不動産バブルの崩壊と経済成長の下方屈折は、その帰結である。世界がインフレに直面するなか、中国はひとりデフレに陥りつつある。
  • 世界のサプライチェーン(供給網)における脱・中国の動きも本格化。中国は米国の輸入先トップから転落したし、日本の輸出先トップは中国から米国に替わった。中国からの資本引き揚げも目立っている。
  • これにより、中国への投資資金が日本に流れ込んできており、日経平均を急速に引き上げている。また先端半導体はもはや、米国、台湾、日本が中心で中国は蚊帳の外。現在、日本のオセロはどんどん「白」に変わってきている。
  • 日本のGDP拡大の課題は内需。インフレを上回る賃上げができるか? 各分野での先端技術を商品化し、低落傾向にある設備投資を増加基調に持って行けるかが鍵。