訪日客課税、政権内で浮上 有権者負担ない財源に 消費税の免税廃止・出国税増 観光消費に冷や水も
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250611&ng=DGKKZO89275750Q5A610C2PD0000
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【コメント】
- 訪日客が近年増加していますが、自民党は税財源確保をここに求め始めています。
- 外国人観光客は日本で商品を買うと消費税がかかりませんが、これを来年から出国時に空港などでフリファンドする方式に変えようとしています。つまり外国人観光客は、国内の商店で商品を購入した際に一旦消費税を払い、出国することが確定的になった時点で消費税を払い戻すということです。理由は、外国人が免税で買った商品を日本国内で安価で販売している不正が横行しているからだそうです。これはこれで不正対策としては一定の効果はありそうでうが税収アップには寄与しません。そこで自民党内では、外国人観光客への消費税免税を廃止することを提唱し始めています。基本的に観光客は「消費税抜きの商品を買いに来ること」が目的ではなく「観光」が目的だからだということです。
- 加えて出国時に徴収する国際観光旅客税の税額引き上げも検討しているようです。現在日本は1,000円を徴収していますが世界各国ではさらに高額な国々があります。
- 円安で観光客が増加しているような認識がありますが、本質的に日本の観光資源は世界的に見ても価値が高いですので、それを安売りすることは得策ではありません。
- 個人的には、上記税制改正はもとより、観光施設への入場料や食事代、交通費、宿泊費なども一定の差をつけても良いのかもしれません。方法としてはマイナカードを提示すれば割引されるということもあるかもしれません。外国人観光客の影響で観光地の食事代やホテル代などが高騰し日本人には手が届きにくくなっている事象がありますし、観光地の交通渋滞は劣悪になっているからです。
- 国会議員には外国人に日本をもっと高売りする手法を即刻検討/実施願いたいと切に希望します。
【記事概要】
- 政府・自民党から訪日外国人に税負担を求める案が浮上している。日本で買う商品にかかる消費税の免税を廃止したり、日本からの出国時にかかる国際観光旅客税(出国税)を引き上げたりする案が取り沙汰される。有権者の負担増にならない財源の確保策である一方で、インバウンド消費への冷や水になる可能性もある。
- 与野党はいま参院選を前に家計の負担軽減を競い合う状況だ。有権者に新たな負担を求める財源確保策を掲げるのは避けたいとの思惑が働く。そこで反発を受けにくい方策として浮かぶのが訪日外国人に税負担を求める案だ。年末に向けて税制改正の議論で取り上げる可能性がある。
- まず外国に居住する人が日本国内で買った商品の消費税を免税する措置の見直しが候補にあがる。訪日外国人の増加に伴うオーバーツーリズム(観光公害)への対策の側面もある。自民党の麻生太郎最高顧問は5月下旬に勉強会を開き、消費税の免税を原則廃止するよう求める提言をまとめた。今週中にも提言を小野寺五典政調会長や宮沢洋一税制調査会長に手渡す。提言は訪日外国人による家電や医薬品の大量購入について「われわれが目指す観光立国の姿とは異なる」との見解を示した。「地方経済の活性化や雇用機会の増大などに寄与しているとは言えない」と強調した。日本国内での転売などを目的にする不正も多いとみられ、購入する場所も大都市圏に集中する傾向がある。
- 政府は転売などの防止策として、2026年11月から出国時に購入品の国外持ち出しを確認してから払い戻す「リファンド方式」に移行する方針だ。麻生氏らの提言は「不正が巧妙化するだけで、実効性のある対策にはならない」と訴える。諸外国にも似た制度はある。フランスやドイツは日本の消費税に相当する付加価値税の一部を出国時に返還する仕組みをとる。アジアでは韓国やシンガポールが取り入れる。
- 訪日外国人らに負担増を求める別の案も浮かんでいる。国際観光旅客税の税額引き上げだ。自民党の吉川有美氏は5月、日本の国際観光旅客税の額が他国の同様の制度に比べ少ないと提起した。参院予算委員会で、石破茂首相に「引き上げるべきだ」と迫った。首相は「ふさわしい対価をもらうのは納税者への義務」と検討する姿勢をみせた。
- 現在の国際観光旅客税は1人1000円だ。観光の基盤を拡充・強化する恒久財源を確保することを目的に19年に創設した。より高い額の出国税を設定している国がある。JTBの資料によると米国は4月時点で22.2米ドル(およそ3100円)だ。エジプトは25米ドル(およそ3500円)、オーストラリアは70豪ドル(およそ6500円)でさらに高い。訪日外国人も日本のインフラや公共サービスの恩恵をうけている。自民党の税調幹部は外国の水準も踏まえ「引き上げの理屈は立つ」と語る。日本の国際観光旅客税の税収は伸びている。財務省は2日、2024年度の税収が過去最高を更新したと発表した。集計期間を1カ月残して4月までに481億円に達した。出国者が減らなければ税額の引き上げでさらなる税収増が見込める。いまは日本人を含めて航空券代などに上乗せする形で課している。もし外国人のみを対象に引き上げるなら新たな仕組みづくりが必要になる。
- 訪日外国人らの消費税免税の廃止や国際観光旅客税の引き上げには慎重論もある。英国は欧州連合(EU)を離脱した20年に外国人観光客向けの付加価値税の免税措置を廃止した。このときに高級ブランド店などの売り上げが落ちたとの見方がある。同様に小売業などへの打撃につながるとの懸念がある。政府は30年の訪日外国人を6000万人に増やす目標を掲げる。負担が重いとみられれば日本を訪問先に選ぶ動機が弱くなるかもしれない。自民党の別の税調幹部は「外国人が来なくなってみんな慌てるのではないか。免税制度は変えたばかりですぐまた変えられない」と話す。