農水省、需要予測外れ高騰招く 消費動向つかめず
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250806&ng=DGKKZO90496550V00C25A8EA2000
【コメント】
  • 石破首相は、コメの増産に正式に言及しました。コメ政策の歴史的な転換点です。
  • この記事によると、インバウンド需要や災害に備えたコメの家庭内備蓄の増加など、農水省の需給予測に誤りがあったとしています。
  • 今後はコメ増産を奨励する政策に転換するそうですが、大規模生産の拡大などコスト低減策や後継者問題など、まだまだ課題が山積しているようです。
  • 最近、コメが美味しく感じます!
【記事概要】
  • 小泉進次郎農相は5日の関係閣僚会議で、コメ価格の高騰要因を巡る農林水産省の見解を明らかにした。人口減によって主食用米の需要が減っていくとの見通しは外れ、その結果「生産量が需要量に対して不足した」と説明した。精米や消費動向も含め、より正確な需給の把握が欠かせない。
  • 小泉氏は会議後、価格高騰を招いた農水省の責任に関して「もちろんある」と言及した。記者団の取材に答えた。「農水省は生産量は足りているという認識で流通実態の把握に消極的だった。マーケットへの情報発信や対話も不十分なままとなった」と語った。
  • 農水省は1人あたりの年間消費量と人口減の進み具合から、コメの需要が2010年代半ば以降は年平均10万トンのペースで減ると予測してきた。需要の実績とほぼ合致していたものの、足元で急に需要が上振れした。23年産で23万トン、24年産で37万トンのズレが生じた。
  • この差について、農水省は今回(1)精米歩留まりの悪化(2)インバウンド(訪日外国人)需要(3)家計購入量の増加――の主に3点を指摘した。
  • 猛暑で米粒がもろくなり、精米の際に割れる事例が23年産から増えた。平時と比べた供給の減少は23年産は約10万トン、24年産は約6万トンに上った。小売りや外食などが必要量を調達するため、多くのコメを確保しようとする動きにつながった。
  • 新型コロナウイルスの流行がおさまり、訪日客の需要も急拡大した。農水省の試算では24年産は22年産と比べて3倍程度の6.3万トンになった。
  • 見過ごせないのは家計の需要増加だ。24年7月~25年6月の2人以上世帯の家計購入量は前年同期から11万トン近く増えたと見込む。24年夏の南海トラフ地震臨時情報を機に「買い置き」の需要が拡大したとみられる。
  • コメの流通変化も響いた。24年産でコメの生産者からの出荷量は15万トン増えたが、従来の主力経路だったJAグループを中心とした集荷業者向けは34万トン減った。コメ卸が同業間のスポット取引で比較的高いコメを調達する動きが増え、価格高騰につながったという。
  • 農水省は5日の会議で「生産量が足りているとの認識のなかで政府備蓄米の放出時期が遅れ、さらなる価格高騰を招いた」との認識を示した。3月に放出を始めた際も集荷業者への一般競争入札による売り渡し手法をとったことで「流通に時間を要した」と総括した。
  • 5月から小売りや外食の事業者に直接渡す随意契約に切り替えたが、随意契約分に関しても出庫や精米のスピードに課題がある。小泉氏は5日の記者会見で、随意契約分も放出量およそ30万トンのうち、1割ほどの約2万9000トンのキャンセルがあったと明かした。