年金底上げの判断は5年後 与野党合意、残る財源不安 氷河期世代置き去りも
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20250527&ng=DGKKZO88938690W5A520C2EP0000
【コメント】
  • 年金改革がここ数ヶ月協議されてきました。
  • 内容はさておき(というかサッパリ理解できませんが、、、)、驚くのは結局具体的な実行判断は5年後だそうです。必要と思うならなぜ今実行に移さないのか大いに疑問です。
  • 現在の国会委員がやったフリをし、最終的に非難を浴びたくないだけなのでしょうか?
  • 国会議員の思考は全く理解できません。
【記事概要】
  • 自民、公明、立憲民主の3党が26日、政府が国会に提出した年金制度改革法案の修正に大筋合意した。基礎年金の目減り防止をうたうものの、措置を発動するかの判断は5年後に先送りされた。年金が政争の具となれば、就職氷河期世代らの低年金対策は置き去りにされかねない。
  • 3党は、2029年に予定する次回の公的年金の財政検証で基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合は、基礎年金の給付水準の向上を図る措置を取ることでおおむね合意した。
  • 自民党の田村憲久元厚生労働相は協議終了後、「実務者同士では大筋合意だ」と語った。立民が提示していた修正案を反映する内容になるとも明かした。
  • 厚生労働省は24年7月の財政検証で、経済成長が実質ゼロ%程度で推移する場合、モデル世帯(夫婦2人)では基礎年金の「所得代替率」がおよそ30年後に3割低下するとの見通しを示した。代替率は現役世代の平均手取り収入と比べた給付水準だ。
  • 基礎年金だけを受給する自営業者や、就職難で厚生年金の加入期間が短い氷河期世代らは給付水準が低下する影響を大きく受ける。このため厚労省は、厚生年金の積立金を活用して基礎年金の底上げを図る案を提起した。実施すれば、基礎年金のマイナス幅は1割減に抑えられる。
  • もともとはこの案を今回の法案に盛り込み、実施を固めるつもりだった。
  • 自民党内の法案審査プロセスで異論が相次ぎ、次の財政検証で検討する方向に格下げされ、最終的に法案自体から削除された。政府は16日、この状態の法案を閣議決定した。
  • 厚生年金の積立金の活用に対しては、SNSなどで「流用」との批判が広がった。基礎年金の受給額が増えれば、追加の国庫負担も必要となる。夏の参院選を控えて、自民党内で慎重論が拡大したことが、削除の背景にある。
  • 実際は給付水準の引き上げは氷河期世代だけでなく、多くの現役世代に恩恵が及ぶ。
  • 厚労省が立民などに提出した試算では、底上げ策を実施した場合、男性は1963年度生まれ(25年度時点で62歳)、女性は59年度生まれ(同66歳)以降は受給総額はプラスになる。
  • 実質ゼロ%成長でパート主婦らの厚生年金の加入拡大を実施した場合が前提だ。
  • 大筋合意した内容は、自民が削除した先送り案の事実上の「復活」に過ぎない。修正法案が成立しても、底上げを実施するかは29年の財政検証を踏まえた判断になる。確実に実施されるわけではない。氷河期世代の低年金対策は前進したとは言えない。
  • 5年後に底上げ策を実施するとしても、「流用」批判と追加の国庫負担の財源探しは課題として残る。立民の長妻昭代表代行は協議後、財源について「必要がある場合はきちっと手当てをして着地させる責任がある」と述べた。
  • 氷河期世代の一部は既に50歳代に突入した。対策の実施が遅れれば遅れるほど底上げの効果はしぼみかねない。議論が難航すれば置き去りが続く。
  • 立民は、底上げ策の実施で受給総額が減る世代に対して「必要な法制上の措置」を講じることも求めてきた。男性は25年度時点で63歳以上、女性は67歳以上が当てはまる。この具体策や財源をどう確保するかも5年後に判断を先送りした。
  • 基礎年金の3割低下は、低成長が今後数十年続くことを前提としている。政府内では、こうした厚労省の試算の前提自体に対して疑義も生じた。