株と金 同時買い広がる 米インフレ再燃を警戒 ウォール街重鎮が推奨https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251001&ng=DGKKZO91641480Q5A930C2ENG000
【コメント】
- 金が投資先として注目されている記事が掲載されていました。
- 投資のポートフォリオは「株式60%、債権40%」と考えるのが一般的ですが、これを「株式60%、債権20%、金20%」に変更する案もあるようです。
- 安全資産とされる債権が、インフレの進行により受取金利の実質的な価値が目減りするとの発想により債権への投資ウエイトを減らし、その分をインフレとともに価値が上昇する見通しが強い金への投資を増やすことが妥当という判断のようです。
- 金は過去最高値を更新中ですが、現時点での金の投資対象としてのウエイトは小さく、金への投資がインフレ再加速とともに今後増加していけば、さらなる価格上昇が期待できるとのことです。
- もっともインフレが再加速されれば金利は上昇し、下落した債権を購入するという投資手段もあると思われます。
- 金は配当や金利を産まず、値上がりのみを期待する投資であり、好き嫌いがあると思われます。(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- 金融市場で株式と貴金属に資金が流れ込んでいる。2025年7~9月期には世界の主要株式指数や金(ゴールド)の国際指標が最高値を更新した。トランプ米政権の政策に警戒し、インフレ再加速に備える投資家の姿がちらつく。資産価値の目減りをどう防ぐのか。債券王ジェフリー・ガンドラック氏らウォール街の重鎮たちが出した答えは「金を買え」だ。
- 戦術的に株式を増やし、債券を減らす――。4500億ドル(約67兆円)を運用する米ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントのマルチアセット投資部門では夏以降、ファンドの資産構成を大きく変えてきた。攻めの投資判断をする裏側で「相場変動リスクに対するヘッジ」(駱正彦シニア債券ストラテジスト)として、安全資産とされる金への投資も強化した。
- 「株・金同時買い」が世界で広がる。米バンク・オブ・アメリカ(BofA)によると世界株ファンドへの資金流入は直近2週間で880億ドル(約13兆円)となり、過去3番目の大きさだった。金ファンドへの流入は直近1カ月ベースで過去最大になった。
- 米景気は減速気味にもかかわらず米国株は最高値を更新し続ける。リスク選好の裏側で金が年初来で4割高となり、1979年以来となるペースで上昇する。30日も一時1トロイオンス3800ドル台後半と最高値を更新した。
- 一見矛盾するような現象がなぜ起きているのか。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「通貨の価値が長期にわたり低下するとの見立てから、投資家がインフレヘッジ資産へのシフトを進めている」とみる。
- 米ヘッジファンド大手ブリッジウォーター・アソシエーツ創業者で著名投資家のレイ・ダリオ氏はインフレ再加速とドル安に警鐘を鳴らす。過剰債務を抱えた政府の典型的な対処法として実質金利押し下げと通貨切り下げを挙げたうえで、「トランプ氏がまさに推し進めようとしている」と指摘した。あえてインフレを引き起こし、債務の実質価値を減らす試みだ。
- インフレ進行は債券運用に逆風になる。利息の実質的な価値が目減りするからだ。投資家は債券中心の運用では資産価値を維持できず、株式や貴金属などインフレヘッジ資産へのシフトを考えるようになる。株・金同時高が起きるゆえんだ。
- 問題はポートフォリオに株や金をどの程度組み入れるか。伝統的資産の一角である債券をどこまで減らすのかも焦点になる。
- 「ポートフォリオに金を25%組み入れたとしても過剰ではない」。債券運用大手ダブルライン・キャピタル創業者のガンドラック氏は米CNBCの取材にこう答えた。900億ドルの運用会社を創り上げた同氏は「債券王」の異名を持つ。債券市場を知り尽くしているからこそ、危機感は強い。
- 米モルガン・スタンレーの著名ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は株に6割、金と債券に2割ずつを配分する新たなポートフォリオを提唱した。伝統的な「株6割、債券4割」配分よりもインフレヘッジに優れていると主張した。金は相場の大変動や混乱時に良いリターンを上げる「反脆弱」資産とみなす。ダリオ氏も「10~15%の金組み入れ」を勧める。
- これまでオルタナティブ(代替)資産扱いだった金。ウォール街に影響力を持つ3氏の発言は、株式や債券といった伝統的資産に並ぶ投資先として金を位置づけている。
- BofAが実施した9月のグローバルファンドマネジャー調査では、機関投資家の資産全体に占める金の組み入れ比率が平均2%程度。4割弱の投資家がゼロに近いと回答した。仮に1割配分するだけでも多額の需要が生まれる。インフレ再加速への警戒が市場を覆う限り、金への資金流入は止まりそうにない。