「高市トレード」再始動へ 日経平均4万7000円視野、懸念は金利https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB050QP0V01C25A0000000/
【コメント】
  • 土曜日に高市氏が自民党新総裁に選出されました。
  • 高市氏は、積極財政派でありこれが今週の株高期待感を生んでいます。
  • また高市氏は、利上げには慎重な姿勢とみられ、日本の追加利上げは先延ばしされる予想もあります。
  • もし積極財政を念頭に赤字国債発行や利上げ先延ばしが濃厚になれば、円安になる可能性があります。円安は功罪があります。円安により輸出企業の業績改善が期待され株高となる一方、輸入物価の上昇による物価高が継続されます。「企業は活況、消費者は苦しむ」です。ただ、加速度的に賃上げが実行されれば、日本経済全体にとっては望ましい状況になります。
  • 高市氏は、幹事長に麻生派の鈴木氏(麻生氏の義弟)、副総裁には麻生氏を据えるとのみかたがあります。また金権政治に加担した議員も主要ポストにつけることを公言しています。少数与党の自民党は挙党体制は必須です。しかし、総裁を女性にしたという新味はありますが、その下は自民党守旧派の巣窟になる懸念があります。
【記事概要】
  • 積極財政の姿勢を示す高市早苗氏が自民党新総裁に選ばれ、東京市場では円安・株高が進みそうだ。総裁選出後に動き出す株式市場では、日経平均株価が前週末から1000円以上高い4万7000円台を早期に目指すとの声がある。ただ、積極財政は金利の上昇を招くおそれがあり、投資家の楽観ムードに水を差す可能性がある。
  • 「高市トレードが復活する」。三菱UFJアセットマネジメントの石金淳エグゼクティブストラテジストは、小泉進次郎氏が優勢とみられていた総裁選で高市氏が勝利したことは金融市場にとってサプライズで、円安・株高で大きく反応するとみる。
  • 高市氏は積極的な財政政策と緩和的な金融環境を志向する「アベノミクス」を継承し、経済成長を追い求める構えだ。
  • 前回の2024年9月の総裁選では石破茂氏が選出されるまで、高市氏優勢とみていた市場では円安・株高が進んだ。為替は対ドルで4円前後円安に振れて、日経平均は4000円ほど上昇している。
  • 今回は小泉氏が優勢との見方が強かったことから、高市トレードの風は強まらなかった。日経平均は10月3日に4万5769円と、最高値を更新したが、人工知能(AI)分野の株高がけん引役だった。
  • 外国為替市場では高市氏の拡張的な財政姿勢を背景に円売りが強まるとみられ、三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、「円相場が週初に1ドル=150円程度まで下落しうる」と予想する。
  • 最高値をつけた株価はさらに押し上げられて「週内に4万7000円まで急騰する可能性がある」(三菱UFJアセットの石金氏)。
  • 株式市場では高市氏が目指す政策の恩恵を受ける業種で個別銘柄を物色する動きも広がりそうだ。まず挙がるのが防衛関連。三菱重工業IHIといった重工大手のほか、防衛システムに強い三菱電機NECへの期待が膨らむ。サイバーセキュリティー分野ではNTTFFRIセキュリティが有力視されている。
  • 高市氏は経済安全保障の強化と関連産業の育成も掲げている。ソフトバンクグループアドバンテスト東京エレクトロンなどAI・半導体関連は関心を集めることになる。
  • 他方、高市氏は4日の就任会見で「日本経済はぎりぎりのところにある」「コストプッシュ型のインフレを放置して、デフレではないと安心するのは早い」など、日銀の利上げに対するけん制ともとれる発言をしている。
  • 日銀の追加利上げのハードルが上がるとの見方から、銀行株にはいったん利益確定売りが出そうだ。小泉氏の規制改革への期待で買われていた人材サービスやライドシェアの関連銘柄も売りの対象になる。
  • 金利の動向次第では、株式市場での先高観が崩れかねない。高市氏は赤字国債の増発もいとわないスタンス。東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは「週内に(長期金利の指標となる)新発10年債利回りは1.7%台、新発30年債利回りは3.3%手前まで上昇しても不思議ではない」との見方を示す。
  • 過去には英国で22年9月にトラス首相(当時)が財源の不明確な大規模な減税を打ち出したことで、金利上昇(債券価格下落)、ポンド安、株安のトリプル安に見舞われている。「超長期債を買い越してきた外国人が売りに転じて、さらなる売りを呼ぶ激しい展開になるかもしれない」(太陽生命保険の清友美貴常務執行役員)
  • 少数与党での政策遂行に懐疑的な声も聞こえる。2000年代初頭から日本株を運用する米GMOのドリュー・エドワーズ氏は「(日本の首相がめまぐるしく変わる)『回転ドア状態』に戻るリスクがある。高市氏は連立政権の構築と統制強化に向けて、多くの困難や課題に直面するだろう」と話す。
  • みずほ証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「日本株の買いが一巡した後は、政策を実現する力があるのかなど、高市政権の現実を見極めていく局面に入る」と指摘する。野党との連携や新内閣の顔ぶれなど、高市氏のかじ取りが注目される。