食品消費税ゼロ、反対88% 経済学者調査  社会保障、不安定に 「インフレ加速も」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20260130&ng=DGKKZO94092340Q6A130C2MM8000

【コメント】

  • 経済学者が、食料品消費税ゼロに反対しています。
  • ①消費税がゼロになり価格が下がると需要が喚起される一方供給量が変わらなければインフレを招く ②食料品を相対的に多く購入する富裕層にメリットはあるが低所得者層にはメリットが少ない ③社会保障財源の毀損となる可能性がある などが主な理由です。
  • 物価高への効果的な政策としては、低所得者を対象に減税と給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を支持する意見が多くあったとのことですが、これは自民党や旧立憲民主党が以前から言及していることであり、本当にこれがベストならば早急に実施して欲しいところです。
  • また円安についても経済学者にコメントを求めていますが、大方の経済学者は円安に否定的です。円安は輸入物価上昇を招くことが主な理由です。
  • 抜本的に日本経済を強化すれば円安が止まり消費税減税なども不要になりますが、実効性ある強化策は何なのでしょうか?

【記事概要】

  • 日本経済新聞社と日本経済研究センターは経済学者を対象とする「エコノミクスパネル」で消費税減税の影響を聞いた。食料品の消費税をゼロにすることは「日本経済にマイナス面が大きい」との見方が88%に上った。物価高対策としての効果を疑問視する声が多かった。財政や社会保障の持続性を損ない、円安や金利上昇を助長するとの指摘も目立った。
  • 2月8日投開票の衆院選に向け、与野党はそろって消費税減税を訴えている。中でも自民党と日本維新の会の連立与党と、立憲民主党と公明党が結成した「中道改革連合」は、食料品の税率ゼロの検討や実現を公約に盛り込んだ。
  • 食料品の消費税率ゼロは日本経済にとって、マイナスをプラスが上回るのか。22~27日に経済学者50人に尋ねると、「そう思わない」(46%)、「全くそう思わない」(42%)の割合が計88%に達した。
  • 食料品の消費税減税は物価高に苦しむ家計支援というプラス面が期待されている。しかし専門家からは物価対策、家計支援の両面から効果が薄いとする意見が目立った。
  • 東京大の佐藤泰裕教授(都市経済学)は「供給サイドが変わらなければ需要を喚起してさらにインフレが加速する可能性が高い」と減税の問題点を挙げた。京都大の長谷川誠准教授(財政学)は欧州の事例を踏まえ、「一時減税による価格低下は限定的で、税率を元に戻す際の価格上昇の方が大きい」と指摘した。
  • 低所得層向けの支援としての限界に注目する意見も多かった。法政大の濱秋純哉准教授(公共経済学)は「食料品支出額の大きい高所得層が減税からより多くの利益を得るため不公平だ」とマイナス面を強調した。
  • 財政に及ぼす悪影響も学者が消費税減税に反対する大きな理由だ。一橋大の陣内了教授(マクロ経済学)は「消費税は社会保障を支える安定的な財源として不可欠であり、その減税に踏み込めば社会保障や財政の持続可能性に不安が生じる」との見方を示した。
  • 与野党の減税策には安定財源について不透明さが残る。早稲田大の野口晴子教授(医療経済学)は「食料品減税で年間数兆円の税収が失われれば、財政赤字拡大と長期金利上昇を通じて国債の信認リスクが高まり、金利上昇と財政悪化の悪循環に陥る」と懸念する。
  • カナダ・ブリティッシュコロンビア大の笠原博幸教授(計量経済学)も「恒久財源なき5兆円規模の減税は財政規律の喪失とみなされ、さらなる国債売りと通貨安を招く恐れがある」と考える。
  • 基幹税である消費税を下げることについては政治への注文の声もあがった。一橋大の森口千晶教授(比較経済史)は「政治家は短期的な自己の利益のために消費税を利用すべきではなく、むしろ国民に対して消費税の重要性を真摯に粘り強く説明すべきだ」と述べた。
  • 一方、長引く物価高への効果的な政策としては、低所得者を対象に減税と給付を組み合わせる「給付付き税額控除」を支持する意見が目立った。京都大の高野久紀准教授(開発経済学)は「低所得層への対策としてはより手厚く、より少ない財源で補助が可能になる」と述べた。