ふるさと納税、集めすぎ? 使いきれずたまる自治体基金  返礼品競争ひずみ生む 北海道・紋別市、5年で5倍https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20251010&ng=DGKKZO91852260Z01C25A0EP0000
【コメント】
  • 今朝は、現状の政治経済を離れた記事を取り上げました。
  • ふるさと納税は、都会から地方へ税を移転させる効果がありますが、「集めすぎ」が問題になっている地方自治体があるようです。
  • 集めた寄付金を使いきれず、今や多額の基金(貯金)を抱える地方自治体が散見されるようです。
  • 地方自治体は、国から地方交付金を受け取る仕組みになっていますが、ふるさと納税が増加しても地方交付金に影響はありません。これが地方に余剰金を産む仕組みの原因になっているようです。
  • 一方都会では、地方税がふるさと納税により減少し、住民サービスに支障が出ている現象がおきています。
  • 財務省もこの点を問題視し、ふるさと納税収入が多ければ地方交付金を減額するなどの対応を検討中とのことです。都会の自治体には地方自治体で減額した地方交付金を配分するなどの措置が必要かもしれません。
  • そもそもふるさと納税は、富裕層優遇という批判があり、ポイントも禁止したこの時期に、抜本的に制度を見直すべきと思います。
【記事概要】
  • ふるさと納税の寄付額が多い地方自治体で、貯金にあたる基金が急増している。上位5市町の基金残高は過去5年間で計8割増えた。北海道紋別市は5倍近くになった。それぞれ単年度では使いきれないほどの寄付を集め続けているためだ。返礼品をてこにした競争のひずみが大きくなっている。
  • ふるさと納税は居住地以外の自治体への寄付額のうち2000円を超える分を住民税や所得税から控除する制度。自治体の多くは寄付金をいったん基金に積み上げ、翌年度以降の事業に充てる。使い道が見つからなければ残高は増えていく。
  • 2024年度までの5年間で最も多く寄付を受けたのは宮崎県都城市で848億円。移住の受け皿整備などを進めており、一般会計予算は25年度に当初ベースで初めて1000億円を超えた。基金残高も23年度末に586億円と、18年度末から55%増えた。担当者は「ふるさと納税の影響が大きい」と認める。
  • 北海道紋別市は5年で計804億円の寄付があった。400億円に満たない一般会計規模に照らして巨額で、小中学校の修学旅行を無償化するなど予算の使途を広げても残る分が積み上がる。基金残高は4.8倍の270億円に達した。
  • 北海道の白糠町、根室市、大阪府泉佐野市までの寄付額トップ5の基金は5年間で計81%増えた。上位の顔ぶれは毎年ほとんど変わらない。
  • こうした自治体は高水準の寄付収入を安定して得ながら、国から地方交付税も受け取り続けている。寄付はあくまで税収とは別の臨時の収入という扱いで、どんなに多くても財政力があるとはみなさないためだ。交付税は一般的に必要な支出を自前の税収でまかなえない自治体に配る仕組みになっている。
  • 異形の寄付制度の広がりに古くからの地方財政の運用ルールは対応できていない。財務省の幹部は「ふるさと納税は自治体にとって最も効率的な稼ぎ方になっている」と話す。
  • 財務省は23年、財政制度等審議会の分科会で、ふるさと納税による寄付を税収と同等の一般財源として扱うことも検討すべきだと問題提起した。実現した場合、寄付の多い自治体は交付税の対象から外れたり額が減ったりする可能性がある。
  • 地方税財政を所管する総務省の幹部も「使いきれないほどの寄付を集めるのは問題がある」と認める。これまでの規制は返礼品ルールの厳格化にとどまっている。ニッセイ基礎研究所の高岡和佳子主任研究員は「使い道や必要額を明示させ、募集できる金額に上限を設けるといった踏み込んだ対策が必要だ」と指摘する。