世界株に「積み立てのワナ」 20年超を目標に継続重要
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2128P0R20C25A3000000/
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【コメント】
- 今朝は、長期間にわたっての投資の基本方針を示す記事があったので取り上げます。
- これまで色々なところで言われてきたことの総括的な記事ですが、特に現在日米ともに株価が下落局面であることから再度重点的に取り上げたのだと思います。
- 長期/分散が大原則です。変動をミニマイズしたい方は株式だけでなく債券も織り交ぜて投資をすることも良いのかもしれません。また当面の生活に必要な手持ち現預金残高を常に確保しておくことが重要です。
(投資は自己責任で!)
【記事概要】
- トランプ米大統領の関税政策などを機に株式相場が世界的に不安定な状態だ。新しい少額投資非課税制度(NISA)で積み立てを始めた人の一部には動揺も見られる。積み立ての注意点やデータを再確認して長期投資を続けたい。
- 定額で買い続ける積み立ては「平均購入単価を下げやすい」とされる。株価の低い時に多くの量を、高いときに少ない量を買うことになるからだ。
- よく例に挙がるのは、投資の初期に株価が下がって多くの量を買えた後に株価が上向いて利益が得られる試算だ。
- ただし株価上昇が先行した場合、買う量が少なくても平均購入単価はじりじり上がる。その後、株価が下落し平均購入単価を下回ると、投資開始時点より高株価なのに含み損になる。「積み立てのワナ」とも言え、落胆して投資をやめる人もいる。
- それでも長期で上昇する資産なら価格が下がった時期に多くの量を買える効果が蓄積し、やがて利益は増えていく。「世界全体の経済も株価も長期的には上昇が期待できる。最も有効な資産形成の手法は世界株投信に積み立てし絶対に止めないこと」
- 例えば日本株のバブルが崩壊した1990年1月以降、世界株投信に月3万円積み立てを続けられていたら、今年3月中旬の資産は総積立額の約6.8倍の約8700万円。かつて話題になった「老後資金2000万円不足問題」が4世帯分解決する。最近の下落も長期的には「さざ波」に過ぎない。
安定的に利益が出るには長期の積み立てが必要
- ただし世界株の積み立てで安定的に利益が出るようになるには、かなり長い期間が必要だ。
- 若い世代が積み立て初期に投資を止めないために「含み損の額と予定する総積立額を比べるのも一案」と話す。例えば初期に50万円の含み損が生じたとする。若い世代には大きく感じられる。しかし月4万円、30年の投資を考えているなら、総積立額は1440万円。50万円の含み損は3%強に過ぎない。「足元の含み損が過大に見える心理を回避できる」。
リスク許容度に合わせた資産配分も重要
- 自らのリスク許容度に合わせた資産配分も重要だ。危機時の下落率を抑えたい場合、株式より値動きの緩やかな債券に分散する手もある。例えば国内株、国内債券、海外株、海外債券を25%ずつ持つといった具合だ。90年からの積み立て投資の場合、リーマン・ショック前の08年8月から09年2月まででも4資産分散なら下落率は25%(世界株は5割)にとどまる。
- ただし長期的には債券より株式の上昇率がはるかに大きい。4資産分散の場合、90年からの積み立てでは足元の資産は世界株100%の5割弱にとどまる。若い時期から「とにかく分散が大事」としてバランス型投信などで債券の比率が大きな資産構成にしておくと、資産の増え方が小さくなる。数十年の運用期間があるなら株式中心の方が資産を増やしやすい。
- そ預貯金なども含めた資産全体で配分を考えることも重要だ。NISAなどで世界株が100%でも、別途預貯金や個人向け国債など安全資産が同額あるなら、世界株が5割下落しても資産全体の下落率は半分にとどまり、その分影響は小さくなる。
あわてて売らないことが大事
- 現在の世界株や米国株は利益水準に比べて割高で、大きな調整が今後訪れる可能性もある。ただ過去、急落があってもずっと続いたわけではない。世界株はリーマン・ショックですら、急落前の08年8月末の水準を4年半後の13年2月に回復した。特に取り崩し期、あわてて売らないことが大事だ。
「値動き大ほど得」と限らず
- 最近は「長期の積み立てこそ最善」という論調が多い。しかし世界株のように長期で上昇基調の資産なら、中高年でまとまった資金がある場合、早い時期にまとめて資金を入れた方が資産は増えやすい。一括投資は高値づかみのリスクがあり、5年程度の集中積み立ても一案だ。20年の運用期間の場合、世界株で1970年1月以降1カ月ずつ開始時点をずらして検証すると、当初5年で集中的に積み立ててその後15年保有を続けた方が、20年の積み立てよりも全期間で大きく増えた。
- 「積み立ては値動きの大きな資産ほどお得」との助言も要注意だ。例えば平均を上回ることをめざすアクティブ型投信はインデックス型より通常値動きが大きく「積み立てに向く」と販売業者が勧めがちだ。確かに大きく下げれば安く大量に買えるが、重要なのは最終的な価格。アクティブ型は手数料負担の重さから長期の上昇率がインデックス型を下回りがちで、積み立ての成績で劣後することも多い。助言は手数料の狙いの可能性もある。